統合失調症の認知機能障害は、社会的転帰と強く影響することが報告されている。その治療法として認知機能改善療法が報告されているが、社会機能への般化が不十分であることが指摘されている。本研究では般化関連要因として発散的思考に焦点を当て検査法の開発することを目的とした。 統合失調症患者の発散的思考の検査法としてThe Tinkertoy Test(以下、TTT)に着目し開発した。まず、定性的調査として健常者16名のTTTの検査場面の動画に基づき質的分析を行い作品を作成するプロセスの類型化を行った。その知見に基づき作成プロセス得点の採点基準を作り従来の採点基準へ追加した修正版TTTとした。 次に定量的調査として修正版TTTの信頼性と妥当性を検証するため、統合失調症患者45名と統制群35名へ施行し、両群とも内的整合性が認められ信頼性が確認された。さらに基準関連妥当性として発散的思考検査のIdea Fluency Testと有意な相関が認められた。さらに生態学的妥当性を検証するため、統合失調症患者の54名に対し、修正版TTTと社会生活能力を測定するLife Skills Plofile(以下、LSP)の相関分析と重回帰分析を実施したところ、修正版TTT総合計点とLSP合計点の有意な関連性が示された。 また認知機能改善療法の一種であるVocational Cognitive Ability Training by Jcores (VCAT-J)による介入研究を行い、その評価尺度として発散的思考検査として修正版TTTを用い前後比較から介入による変化を検証した。これは症例報告としてまとめ報告する予定としている。
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