研究課題/領域番号 |
16K17347
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
木村 真人 大阪国際大学, その他部局等, 講師 (60365004)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学生相談 / 援助要請 / 大学生 / 学生支援 / 学校心理学 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,悩みを抱えながら相談に来ない学生の援助要請行動のプロセスモデルの精緻化およびそのような学生を支援する立場にある教職員および学生相談カウンセラーが抱える困難を明らかにし,援助ニーズを抱える学生に対する学生支援の実践モデルを提案することである。
本年度は上記の研究課題について先行研究のレビューを中心に行った。その結果,大学生の学生相談に対する援助要請に関連する知見の不一致および学生相談の実践活動に向けては,援助要請行動のプロセスおよび計画的行動理論(Ajzen,1991)を援用することの有用性が示された。次に,悩みを抱えながら相談に来ない学生への対応に向けて,援助要請行動のプロセスの視点に加え,学校心理学の心理教育的援助サービスの枠組み,および学生支援の3階層モデル(日本学生支援機構,2007)に基づく学生支援モデルを提案した。このモデルに基づく理解と支援の具体的な方法は、1)援助要請行動のプロセスのアセスメントによる理解、2)援助要請行動のプロセスに関連する要因のアセスメントによる理解、3)プロセスとその関連要因のアセスメントに基づく学生支援,から構成される。
先行研究のレビューを通して、悩みを抱えながら相談に来ない学生の理解と支援に向けた実践および研究における今後の課題として、大学キャンパス成員の援助要請行動の検討、大学生の援助要請行動のプロセスに関連する大学レベルの要因および介入の検討、大学における学校心理学の展開、などが挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究のレビューにおいて、より広範囲の観点から本研究課題を捉えたことで、予定よりも時間がかかり、今年度中の質問紙調査とインタビュー調査に取り掛かることができなかったため、上記のように進捗状況を評価した。なお先行研究のレビューは、次年度に教育心理学年報に掲載予定である。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究のレビューを元に,大学生および大学教職員を対象に,「悩みを抱えていながら相談井来ない学生の援助要請行動のプロセスモデルの精緻化」と「悩みを抱えていながら相談に来ない学生への対応における困難の実態把握とその生起メカニズムの解明」について,質問紙調査と面接調査を実施予定である。面接調査については,調査協力者を集めるのに困難が予想されるが,全国の大学を対象とした質問紙調査において,本研究課題に問題意識を持つ大学教職員に、調査協力を依頼することで,解決することができると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた質問紙調査を次年度に実施することとなったため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,大学生および大学教職員を対象に質問紙調査,web調査,面接調査を実施する。web調査のためにweb調査画面作成のための費用,大学教職員を対象とした質問紙調査では調査用紙の印刷費と全国の大学に調査依頼を郵送するための郵送費、さらに面接調査を実施するため,その旅費・謝金・物品(ICレコーダー)等に使用予定である。
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