研究課題
最終年度は、主に1)前年度実施した大学教職員を対象したアンケート調査の自由記述(学生に学生相談機関の利用を勧める際の工夫)の分析、2)大学生が学内の友人に学生相談機関の利用を勧める意識に関する調査、3)大学教員からの学生相談機関の利用を勧めるメッセージの効果に関する調査、4)本研究課題の総括、を実施した。1)では、大学教職員の工夫として、【普段からの信頼関係構築】【他部署等での解決の試み・活用】【敷居を下げる工夫】【相談機関利用のメリット】【守秘義務の強調】【自主性の尊重】【実際に勧める場面での工夫】のカテゴリーが抽出された。2)からは、大学キャンパスの専門的な心理的援助に対する知覚されたパブリック・スティグマが専門的な心理的援助を受けることへの態度および学生相談機関の利用のメリットを媒介して、学内の友人に学生相談機関の利用を勧める意識に影響を及ぼしていることが明らかとなった。3)からは、利用のメリット、利用のデメリット、守秘義務、利用は一般的であること、自己決定の要素のうち、利用のメリットの要素が相対的に重要度が高く、その中でも学生相談機関の利用が役立つというメッセージが、大学生の学生相談機関利用の意図に正の影響を示すことがあきらかとなった。しかしながら、各要素の重要度および、各水準の影響度は弱かった。したがって、今後さらなる利用を勧めるメッセージ内容の検討が必要である。最後に4)として、本研究の援助要請研究の知見に加え、計画的行動理論、学校心理学、学生支援の3階層モデルの観点から「悩みを抱えていながら相談に来ない学生の理解と支援に向けた学生支援モデルの提案」を行った。
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