研究課題
不眠障害や気分障害等の背景にある生理的過覚醒を評価するHyperarousal Scale(以下、HAS)がある。HASは自記式26項目で構成され、先行研究においては不眠症群は健常者群と比較するとその過覚醒得点が有意に高いことや、過覚醒状態はうつ症状やストレス、睡眠問題と関連していることが明らかにされている。本研究では、HAS日本語版を用いて評価した過覚醒状態が、不眠症や気分障害のスクリーニングツールとして有用であるかについて検証することを目的としている。これまでの研究結果から、地域住民と比較すると不眠症患者はHAS得点が有意に高いことが示され、また、不眠症状が寛解している不眠症患者においてもなお過覚醒得点が高い者がいることが明らかにされた。すなわち、寛解状態にあっても不眠障害や気分障害の再発リスクを抱えている状態にある可能性が示唆された。さらにこれらの結果をふまえ、地域住民を対象として、不眠や抑うつ状態には至っていないが過覚醒得点の高い者はその後の不眠や抑うつ症状発現のリスク要因となり得るかについての検討を行ったところ、抑うつ状態を呈していなくても過覚醒状態が高い者は1年後の抑うつ症状のリスク因子となることが示された。最終年度についても引き続き調査に参加している地域住民348名のうち161名からデータを収集し解析を行っている。研究成果の一部については、不眠研究会や国際学会等にて発表を行うとともに論文の執筆を進めた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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