研究課題/領域番号 |
16K17354
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
宮前 光宏 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第七部, 流動研究員 (20745872)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 認知行動療法 / 統一プロトコル / 治療反応性 / ニューロイメージング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、うつ病および不安症の発症・維持に関与する神経基盤を感情調整不全という観点から明らかにすることである。具体的には、(1)感情調整不 全に焦点づけられた認知行動療法(統一プロトコル)の介入前後に生じる脳の構造的および機能的変容の検討、(2)統一プロトコル介入前の脳画像データを用いた、統一プロトコルに対する治療反応性の予測モデルの構築および検証を目的とする。 平成30度は、既存研究で取得している患者(うつ病・不安症のいずれか、または両方の診断を受けた感情障害患者)群のデータと比較する、年齢・性別をマッチ ングさせた健常統制群の撮像撮像を継続し、得られたデータでの解析をし、治療反応性の予測モデルを構築する予定であった。また、構築した予測モデルが、新たな対象者に対して応用できるかどうかを検討する研究を開始する予定であった。 実際の進捗に関しては、次の通りである; 健常統制群50名の脳画像データの取得に関して、単一研究での撮像技術者の確保およびリクルートが困難であったため、健常統制群の脳画像データを必要とする他研究と共同して脳画像データを収集する方法を検討した。そして、複数の研究で共通して用いることができる脳画像データ撮像および他研究ですでに撮像済みの健常者の脳画像データの収集に関する研究倫理申請を行い、承認を得た。そして、新規で6名の健常者に対して脳画像データの取得を行い、また、既存研究の脳画像データの収集・整理を実施した。また、既存研究で取得している患者群の脳画像データに関して、前処理を行い、健常統制群の脳画像データが揃い次第、解析を行うことができる状況を整えた上で、予測モデル検証用の患者群の脳画像データの撮像を8例分実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
健常群撮像における撮像技術者の確保およびリクルート経路の確保が困難であり、当初の予定を変更せざるを得なかったため。また、既存研究で取得している患者群のリクルート状況も遅れており、解析を開始する目標症例数に至らなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初は本研究のみで健常統制群の脳画像データの取得を行う予定であったが、撮像技術者の確保やリクルート経路の確保の観点から、健常統制群の脳画像データ を必要とする複数の研究班と共同で、健常統制群の脳画像データ撮像を行うように修正した。それに加えて、すでに他研究で取得済みの脳画像データを収集・整理することで新たに取得しなければならない症例数が削減することができたため、今後は脳画像データの整理が済み次第、解析に移る。 また、予測モデル構築に必要な患者群のデータは2019年4月に全て取得済みとなったので、速やかに解析に移り、論文執筆および公表に進む予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行が全体に遅れており、研究参加者や資料整理・データ入力者に対する謝金・人件費を支払うことがなかったこと、また、撮像に係る費用が他研究との合同となったため、不要となったために、次年度使用額が生じた。 H31年度は、研究(健常統制群の画像データ取得)開始に伴う研究参加者への謝金支払いや、得られたデータや資料の整理等を行う人員に対する人件費の支払い、得られた研究成果の発表のための費用(旅費、ポスター印刷、英文校閲、出版料等)が見込まれる。
|