本年度は、訪問看護を利用していた親(実親・義親)を在宅で看取ってから半年~2年経つ成人600人を対象に、インターネット調査を実施した。本研究では1回目の調査対象者に対して、その半年後に2回目調査を実施した。主な調査項目は、故人の属性、遺族の属性、死別に関する属性、在宅医療の評価、在宅で受けた医療と介護サービスの満足度、終末期の家族ケア、遺族訪問時のスタッフの対応に対する評価及び満足度、看取りに対する満足度、死別からの主観的な回復度、複雑性悲嘆であった。 多変量解析を行った結果、以下の結果が得られた。1)在宅医療の評価が高いほど、終末期における患者と家族の間の思いの言語化に対する支援があったほど、1回目の調査時の複雑性悲嘆の得点が低くかった。そして1回目調査時の複雑性悲嘆の得点が低いほど、2回目調査時の複雑性悲嘆の得点が低かった。 また訪問看護事業者のスタッフから遺族訪問があった遺族を対象に分析を行った結果、2)在宅で受けた医療と介護サービスの満足度が高く、遺族訪問のスタッフの対応が肯定的評価が高いほど、遺族訪問時のスタッフの満足度が高く、遺族訪問時のスタッフの満足度が高いほど、2回目の調査時の看取りに対する満足度及び死別からの回復度が高かった。 本研究課題期間に実施した研究から、在宅療養者を看取った遺族の適応に影響を及ぼす終末期における家族ケア及び遺族訪問を核とする遺族ケアの影響及びその関連性を明らかにすることができた。本研究課題から在宅における終末期ケアとの連続性から捉えたグリーフケアの在り方を検討する際に有益となる基礎資料を得ることができた。
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