研究課題/領域番号 |
16K17371
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
飯野 祐樹 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (10633612)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ニュージーランド / 5歳児就学 / 移行期 / 就学システム |
研究実績の概要 |
今年度は日本国内で可能な情報の収集、及び、これまでの現地調査で得られた情報の整理を行った。特に歴史的視座からニュージーランドがどのようにして小学校への5歳児就学を採用するに至ったかのかについて検討を進めた。 ニュージーランドは、1840年に先住民族であるマオリ族と入植者としてのヨーロッパ系民族との間でワイタンギ条約が締結されて以降、英国型システムの影響を受けながら中央集権化が進められてきた。1840年以降のニュージーランドの教育は5歳から15歳までの子どもを対象としており、富裕層の子どもは教育費が伴う私立の学校へ通う一方、貧民層の子どもは教会学校や日曜学校に通うことで教育機会を得ていた。ただ、教育法の整備が進んでいない当時のニュージーランドでは、就学に関する法的義務は課せられていなかった。このような中、1877年に出された教育法の施行に伴い初等教育部門が義務教育化されたことは5歳児就学において大きな影響を与えたことが示された。1877年教育法では、7歳での就学が義務付けられており、5歳児と6歳児に関しては就学の選択権が与えられ、小学校内に幼児クラス(Infant Class)が設けられていた。7歳児就学についてはしばらく続けられたが、1964年に1877年教育法の大幅な見直しが進められ、同年に公布された1964年教育法の施行に伴い、国際的な動向に合わせる形で義務教育年齢が6歳に引き下げられることとなる。 以上のような過程からニュージーランドでは、5歳児には就学の選択権が与えられ、6歳児には義務教育の開始が課せられるといった就学システムが確立されたことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大により現地調査が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に得られたニュージーランドの就学システムの形成過程と過年度に得られた今日の情報とを繋げ合わせ、ニュージーランドの就学システムの形成過程の全体像について精査を進めると共に、社会に発信できるよう精緻化を進めていく予定である。また必要に応じて、現地で追加調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた現地調査がCOVID-19感染拡大により困難な状況となったため。
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