研究課題/領域番号 |
16K17374
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
阿内 春生 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10608839)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教育学 / 教育と政治 / 市町村議会 |
研究実績の概要 |
本年度は秋田市の公立美術大学設置認可に過程を通じて、地方自治体内の政治による設置認可申請に対する対応を検討し、日本教育行政学会第51回大会(大阪大学)において報告した。 本事例は秋田市立美術工芸短期大学の4年制大学への昇格を内容とするもので、秋田市議会においても、検討状況について逐次報告がなされている。取り組みを主導した秋田市長が選挙公約として掲げ、当選したあとに実現に向けて慎重に議論を進めたこともあり、議会内での大きな対立を生むことなく議論は進んだ。一方、2012年11月、文部科学大臣からの設置認可を待つ段になり、いわゆる「不認可騒動」が起きた。大学設置・学校法人審議会の設置を可とする答申に対して、文部科学大臣が設置認可しないと表明したことから生じた事件であったが、秋田市長、その他秋田市関係の国会議員や秋田県内のあとおしもあって、設置不認可の方針は撤回された。この不認可騒動に関連する秋田市議会や秋田市長ら政治的アクターの動向を分析し、首長が推進する教育政策が政治的後押しを備え、施策の推進にあたって、教育委員会を介在する高等学校までの教育行政と大きく異なることを指摘した。 研究では、この事例を通じて、秋田市内の首長と議会の関係、いわゆる「不認可騒動」をめぐる政治的アクターの動向を詳細に分析した。本研究の論文については現時点では公表に向けて準備を進めている段階である。 また、今後の研究継続の予備的な調査として、web上に議会会議録を掲載している地方自治体の会議録から、提案の議案に対する修正・否決の案件について調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初申請した予算案からは大幅な予算費目の削減を受けたため、研究方法を事例研究を中心とした実態調査に重点を移しつつ、先述の秋田公立美術大学の事例など、効果的な事例研究ができていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も事例研究を中心とした質的実証研究に取り組みつつ、費用と方法を見直してアンケート調査を含めた量的調査を実施したい。費用の抑制が必要であるが、電子的な方法により集計と回収費用の抑制が可能であると考えており、実現に向けて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の変更に伴って、実使用額にその変更分が反映されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
円滑な予算執行と研究の遂行のために、研究計画の見直しと費用の節減を継続し、効果的な予算執行ができるようにする。
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