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2016 年度 実施状況報告書

近代移行期の地域医療環境に関する教育社会史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K17387
研究機関京都外国語大学

研究代表者

塩原 佳典  京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (40769650)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード公立病院史 / 医療環境史 / 地域社会史 / 教育社会史
研究実績の概要

2016年度は、「明治前期地域社会における衛生の展開と学校の役割」の解明をめざし、研究を実施した。具体的には、1879年の長野県におけるコレラ流行を対象に、地域の側の対応とそのなかで学校が果たした役割を検討した。
第一に、長野県大町市平林家文書の目録編成に取り組んだ。平林家は、近世より名望家的な立場にある家柄で、明治以降も学校世話役や病院世話役、衛生掛など諸役を兼担した。これまで未整理であった近代文書675点の目録化を完了した。
第二に、学術論文「明治前期における公立病院の興亡―長野県松本地方の医療環境をめぐる「公」の行方―」をまとめ、査読付紀要論文への掲載が決定した。明治前期の松本地方では、病院や学校などの「開化」事業を通じて近代的な衛生思想の普及が図られた。しかしその一方で、それら「開化」事業の進展には地域的な格差が確認された。こうした地域差は、1879年のコレラ流行を契機として顕在化する。それは、公立病院の地域的支持基盤を揺るがす事態ともなった。上記平林家文書はもとより、大町市文化財センターや松本市文書館など、松本地方の複数のアーカイブズへの調査により見出された史資料にもとづく成果である。
本年度は、新たな史料群を掘り起こしつつ、論文をまとめることができた。またこれら以外に、もう一本の論文を現在査読申請中である。2017年度は、さらなる史料群の調査を実施し、その成果を関連学会へ積極的に発信することで、より多くの研究者たちと議論を重ねていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」で述べたとおり、史料の目録編成と研究成果のとりまとめを並行して行うことができた。したがって2016年度の進捗状況は、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

2017年度には、松本地方および南に隣接する諏訪地方での調査を実施すべく、現在調整中である。松本地方における医療環境の「開化」をより立体的にとらえると同時に、近隣地域へ新たに着目し相互の関係性を検討することで、より広い歴史的文脈のなかで地域医療環境の変容を解明したい。こうした問題認識に立ったとき、諏訪地方は、地域住民の拠出による公立病院が明治前期から現在に至るまで存続している点に特質がある。この意味で、公立病院を存続させることができなかった松本地方とは格好の比較対象になると考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 明治前期における公立病院の興亡―長野県松本地方の医療環境をめぐる「公」の行方―2017

    • 著者名/発表者名
      塩原佳典
    • 雑誌名

      研究論叢

      巻: 89 ページ: 未定

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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