研究課題/領域番号 |
16K17393
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
杉浦 由香里 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (90734111)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 実業補習学校 / 学校組合 / 公民教育 / 青年教育 |
研究実績の概要 |
29年度は育児休業を取得したため、研究活動を一時中断せざるをえなかった。しかし、職場復帰に伴い、10月より研究活動を再開することができた。 研究活動再開後は、三重県阿山高等公民学校の関連資料ならびに愛知県下の公民学校関連資料の整理を中心に行なった。前者については、青年学校に転換後の三重県阿山高等公民学校の学校日誌の翻刻に着手した。社会的要請の変化に伴って教育内容や取り組みに変容がみられるなど、公立青年学校三重県阿山高等公民学校となった後の教育の内実を明らかにするための手がかりを得ることができつつある。 後者については、愛知県碧南国民学校の学校要覧の翻刻を行なった。三重県阿山高等公民学校の設立時に同校の学則が参照されており、比較考察する上で重要な資料となる。また、愛知県の松平村役場資料から、同村では1933年に高等小学校を廃止して昼間通年制の実業補習学校すなわち松平公民学校に転換した事例を発見するなど、実業補習学校をめぐって興味深い動向が存在することを確認することができた。 また、29年度は、三重県と滋賀県における中等教育諸機関の動向についても整理・分析を行ない、その結果を論文としてまとめた。両県における地域的特質をふまえながら中等教育諸機関のありようを明らかにすることができた。 30年度は、上述した愛知県下の学校組合立実業補習学校の動向を整理し、分析を進めるととともに、その結果を研究成果としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
29年度は、育児休業の取得に伴い研究活動を一時中断した。そのため、当初の計画から遅れることとなった。およそ10ヶ月に渡って研究を中断せざるをえなかったため、研究計画の見直しを行い、研究期間を一年間延長することとした。 研究再開後は、見直した研究計画に沿って、三重県ならびに愛知県の公民学校関連資料を中心に整理・分析を進めた。 上述したように、三重県では、青年学校に転換後の三重県阿山公民学校の日誌の翻刻に取り組み、教育内容と取り組みがどのように変容したのかを分析するための手がかりを得ることができつつある。 また、愛知県についても、学校組合立による実業補習学校の事例をいくつか見出すことができ、資料整理と分析に着手しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は、愛知県下における学校組合立実業補習学校についての整理・分析を集中して行い、その結果を研究成果としてまとめる予定である。また、青年学校に転換後の三重県阿山高等公民学校の学校日誌の整理を進め、青年学校令以降の展開を分析することを通じて、同校の教育の内実を明らかにしていきたい。 さらに、長野県や兵庫県、鹿児島県などにおける学校組合立実業補習学校に関する資料の収集についても順次着手していくつもりである。しかし、現実には育児の傍ら、遠方での資料調査を実施することが困難な状況にあるため、まずは三重県・愛知県・長野県を中心に研究を進めることとし、その他の地域については研究協力者と相談しながら調査を実施することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)29年度は育児休業を取得したことにより、研究活動を一時中断せざるをえなくなったため。10月より研究活動を再開したが、当該年度では研究の遅れを取り戻すだけの取り組みが困難であったことに由来する。
(使用計画)育児と研究を両立するための託児費用および資料整理や資料翻刻、データ入力などの研究活動の補助業務を依頼するための人件費として使用する。また、29年度に断念した資料調査について研究協力者へ調査協力を依頼し、旅費やその他の費用および謝礼として用いる予定である。
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