本年度は、昨年度に女性管理職を対象に行った質問紙調査データと、女性管理職・男性管理職へのインタビュー調査を分析し、さらに学校管理職経験者へのインタビューの分析を加えて、学会において発表し、研究領域を同じくする会員から示唆を得た。 学会発表の示唆を含めつつ、調査に協力いただいている教育委員会の方にもお話を伺い、同県の置かれた施策状況のほか、女性教員がおかれた時代の変化やキャリアに関して聞き取り調査を行った。 12月から産休となったため、本研究の成果は、まだ文献レビューを行った紀要論文と、中間報告書のみであるが、中間報告書をまとめる段階で、学校組織特性として、校内研修の活発さや、男女の慣行の差がないこと、職員集団が活発に意見交換をできる組織が女性管理職当人にとって影響を与えていること、男性管理職経験者からみてもそのことは理解できることを示したので、この知見をさらに文献や追加調査を行うなどして今後学会誌等で、論文として示していく予定である。本研究の目的は女性管理職登用を促進する学校組織の特性を明らかにすることであり、上記の条件はごく一部に過ぎず、今後更に分析することで、学校組織の特徴と女性管理職登用との関係を明らかにすることができると考える。さらに、現職の女性管理職へのインタビューを通して気づいたことは、ここ10年で女性管理職に「なること」は、それほど大きな壁とはなっていないようである。そうした点をどのように本研究で受け止めるのかは一つの課題である。
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