研究課題/領域番号 |
16K17397
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
戸村 理 國學院大學, 教育開発推進機構, 助教 (00758576)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大学経営 / ガバナンス / 大学教員給与 / 戦前期私立大学 |
研究実績の概要 |
平成29年度は前年度の資料収集で明らかになった国外の大学アーカイブスが所蔵する資料群について、国内で可能な限り事前調査を行った上で、現地での収集作業を行った。 訪問したアーカイブスは米国のハーバード大学アーカイブスとマサチューセッツ工科大学アーカイブスであり、夏期に集中的に作業を行った。収集した資料は19世紀末から20世紀初頭のカレッジ経営に関する一次史料であり、具体的にはカレッジの経営戦略に関する覚書、学内での各種検討資料、カレッジの経営に関するパンフレット等の公開資料、College Fundationの年報、カレッジに所属する専任教員の給与表(サラリースケール)及び帳簿(サラリーブック)等である。なお給与帳簿に関しては個人資料に関するルールから、閲覧可能な年代は1930年代までであった。 今回の調査で入手した資料の点数は極めて膨大であり、また日程の関係から十分整理すること無く網羅的に収集したため、今年度内にすべての資料を整理・分析をすることはできなかった。ただし一部の重要な資料、とくに19世紀末から20世紀初頭にかけての日本の私立高等教育機関との関係性を物語る一部資料群については、帰国後すぐに整理・分析し、学会での発表を行った。有益な指摘を頂けたこととも相まって、今後の我が国の大学史・高等教育史研究に資するだけでなく、海外での大学史・高等教育史研究にも資する研究テーマとなる可能性があると推察される。最終年度となる平成30年度も引き続き研究を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は国内調査に加えて海外調査を実施した。理由は戦前期日本私立高等教育機関の管理運営及び経営実態を考察していく中で、海外私立大学、とりわけアメリカの私立大学からその経営のあり方をめぐり、様々な情報を入手していた実態が理解できたからである。入手した一部資料については整理・分析を行い、日本高等教育学会研究交流集会において発表を行った。今後は当該時期(19世紀末から20世紀初頭)における米国州立大学の実態についても調査を行い、日米高等教育機関の比較経営史にまで進展することができればと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は計画の最終年度であるため、これまでの知見を整理し、総合的な考察を行いたいと考えている。管理運営、財務といった点から近代私立高等教育機関の経営構造について見解をまとめる方向で研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度(初年度)に学内業務の都合から研究出張ができなかったことで使用額に変更が生じた。平成29年度は当初の計画以上に有効的に執行できており、最終年度である平成30年度も引き続き有効的に執行できるものと考えている。
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