平成30年度は本研究課題の最終年度であり、大別して以下の3つの点に焦点をあてて研究活動に従事した。 1点目は、前年度まで(平成28・29年度)に国内外で収集した資料の整理・分析・論文化を行うことであった。とくに米国ハーバード大学アーカイブスで入手した20世紀初頭の同カレッジ所属の教員給与の実態については、前年度の口頭発表の成果をブラッシュアップし論文を執筆した。この論文については国内の学術誌ではなく、米国のしかるべき学術誌への投稿を考えて英文で作成しており、当時来日中であった米国大学史研究者と、その内容についてディスカッションを行った。有益なアドバイスを頂けたので、必要事項の再度の検証を行い、次年度以降の海外学術誌への投稿を予定している。なお国内関係資料の整理・分析については後述する。 2点目は、カリフォルニア大学バークレー校にて、1900年から1970年頃までの米国州立大学の制度設計・経営に関する資料収集を行うことであった。これは前年度までの調査と関連することから、急遽実施した調査である。 3点目は、戦前期に大学に昇格した国内の私立高等教育機関の管理運営組織に関して、これまで入手した資料をもとに、各大学ごとの実態を比較形式で整理・分析する作業であった。この作業については、所属大学の校務の関係から作業が遅れており、知見が整理でき次第、簡易な報告書等を作成し、その成果を報告したいと考えている。
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