1・2歳児における身体活動に関する評価基準作成に向けた試み

2016 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K17404
• 研究機関: 広島女学院大学
• 研究代表者: 田中 沙織 広島女学院大学, 人間生活学部, 准教授 (40548799)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 身体活動 / １・２歳児 / ルーブリック

研究実績の概要

２８年度は、１・２歳児の身体活動の実態について、日中の身体活動量と運動強度のモニタリングを行うための事前調査として、広島県の保育所に通う１・２歳児の保護者を対象に、１・２歳児の生活環境と身体活動の実態および保護者の意識に関する質問紙調査を実施した。その結果、幼児の身体活動への関心が高い保護者では、日常の生活環境の中で利便性よりも子どもの身体活動へより注意をはらっていることが明らかとなった。一方で、１・２歳児の身体活動量については、全体的に日常生活の中で意識して生活をしていない傾向にあることが明らかとなった。また、日常の身体活動については、両親だけでなく祖父母の影響が大きい傾向が確認でき、１・２歳児の日中の身体活動量と運動強度のモニタリングを行うにあたり、祖父母の意識や関わり方の実態についても考慮に入れる必要があるという示唆を得た。
また国際的な幼児の身体活動に関するガイドラインについての比較では、２８年度はイギリスを対象として検討を行った。計画では渡英して現地調査を行う予定であったが、調査先の関係で、２８年度は同国の１・２歳児を対象とした身体活動に関するガイドラインの分析を行った。その結果、１・２歳児の身体活動の重要性について示されると共に、意識的な身体活動の確保、特に全く動いていない時間を減らす取り組みが重要であり、そのための日常的な環境構成や関わりが重要であることが示されていた。
これらを基に、保育者と事前協議を行い、１・２歳児の日中の身体活動と運動強度のモニタリングを行うための条件設定について検討した。また、身体活動支援ツールについて、わが国での実現可能性についても合わせて検討した。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、２８年度は日中の身体活動量と運動強度のモニタリングおよび、イギリスでの資料収集、ガイドラインに沿った保育実践の観察調査を実施する予定であったが、１・２歳児を担当する保育士との事前協議の中で、幼児の生活環境と保護者の意識によって差異が大きい可能性が指摘されたため、モニタリングによる実態把握は２９年度に行うこととした。そのため、２８年度は上述したモニタリングのための事前調査を実施した。また、イギリスでの現地調査については、調査先との時期の調整がつかず、２９年度に実施することとした。そのため、進捗としては「やや遅れている」と考えている。

今後の研究の推進方策

計画の変更により、日中の身体活動量と運動強度のモニタリングを２９年度に実施することとした。また、イギリスでの現地調査についても関係先との調整がつかず、２９年度に実施することとした。
当初２９年度に予定していた、家庭保育および保育施設にける保育実践の実態調査、国際的な１・２歳児の身体活動についての動向調査、１・２歳児の身体活動評価票と支援ツールの素案検討については、予定通り進める。

次年度使用額が生じた理由

物品費の大部分を占める、１・２歳児の日中の身体活動量と運動強度のモニタリングを行うために必要となる多軸加速度計について、２９年度にモニタリングを行うこととしたため、２８年度には購入しなかった。また、イギリスでの現地調査についても実施を２９年度に変更したため、旅費についても使用しなかった。それに伴い、謝金や人件費についても２８年度は予定より少なくなったため、次年度使用額が生じている。

次年度使用額の使用計画

研究計画の変更に伴い、２９年度に多軸加速度計の購入、海外現地調査を行うため、次年度使用額については２９年度に使用する予定である。