日本において、3 歳未満児が十分に運動発達を遂げるための、望ましい身体活動の指標は明確ではない。しかし、1・2 歳児ではすでに人間の基本的な運動機能や指先の機能の発達が見られる。そのため、3 歳未満児にとっても身体活動は発達における重要な役割を担っているといえる。 本研究では、歩行が確立し意図に沿って身体を動かすことができる初歩的な運動の段階にある、1・2 歳児の日中に見られる身体活動について明らかにする。また幼児期前期の身体活動環境に関する指標をルーブリック評価を用いて作成し、必要な身体活動(量・強度)、運動発達等について身体活動支援ツールを作成することで、それを到達するために必要な大人のかかわりを示し、保育施設や家庭における健康的な子どもの育成に寄与することを目的として研究を行った。 前年度までに作成したルーブリック評価票に一部改変を加えた最終案を用いると同時に身体活動のモニタリング調査を行った。結果から、前年度同様に評価票の各項目と身体活動量に正の相関が確認された。この結果を受けて、ルーブリック評価票の完成とした。さらに、本評価票を基にした運動遊びのカリキュラムを提示し、評価票と合わせて使用感について、保育者を対象にインタビュー調査を行った。結果から、保育における見通し、子どもの発達理解、自身の保育の振り返りと省察に寄与することが明らかとなった。 前年度実施が叶わなかった、保育所に通う1・2 歳児の保育プロセスの中で、どのように身体活動が生起しているかについての観察調査については、一部調査を実施したものの、新型コロナウィルス感染症の影響で、十分なデータ蓄積には至らなかった。 これらの結果について、研究協力園を中心にルーブリック評価票およびパンフレットを作成し、配布すると同時に成果報告用のホームページを作成し、広く社会への還元を図った。
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