本研究は、我が国の都道府県における高等学校教育費の支出状況および運用実態を調査し、その異同を明らかにするとともに、それぞれの特徴を析出し、制度と実態の両面から検討しようとしたものである。 2018年度は、研究最終度にあたり、2017年度に実施した各都道府県における高等学校教育費の支出動向にかかわる長期的な数量データの推移ならびに、同データをもとにした都道府県間の差異、傾向や特質を踏まえた調査を実施するとともに、本研究のまとめと今後の課題について整理をおこなった。具体的な作業として、47都道府県の高等学校教育費の現状と運用実態ならびに、地方において高等学校教育費がどのような形で支出されているのかを把握することに努めた。収集したデータの結果および、分析の内容については来年度の学会発表等で公表する予定である。 研究成果の一部として、都道府県における高等学校教育費支出については、各都道府県の高等学校設置状況・学科編成、公私比率等の高等学校の地域特性が反映されている実態が見受けられることに加え、地方による高等学校教育政策との関連性についても指摘することができる。 本研究では、各都道府県における高等学校教育費支出のあり方に関して政策選好という点から分析をおこなったが、現在進行している高等学校教育政策による費用支出の実態や地方財政状況を含めた分析をすることも必要であるため、この点が今後の課題として残っている。
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