研究課題
若手研究(B)
本研究は、大学進学前と大学在学中に着目し、貸与奨学金の制度面と利用面の双方から総合的かつ比較的視点で、貸与奨学金制度の効果について多角的に実証研究を行った。政府機関へのインタビュー調査や、既存調査の発展的分析及び新たな質問紙調査の実施・分析を通じて、日中両国における貸与奨学金を含めた経済支援の基本的特質を明らかにし、その制度的デザインと効果の異同に基づき、経済支援制度の在り方に関する政策的提言を試みた。
高等教育
一国のみの議論では明らかになっていない貸与奨学金の基本的特質を明らかにする点が本研究の学術的な特色である。日中両国の比較可能な実証研究を通じて、中国での実証研究の蓄積に貢献したほか、日本の奨学金改革に示唆を与える点も多く、日本の特性を考慮した奨学金制度の在り方を論じることが可能となった。また、異なる社会背景及び近代化の過程が抱える高等教育の構造的問題について、奨学金の視点から実証分析を行っている点で、高等教育政策の展開に貢献でき、学術面・社会面で大きな意義がある。