研究課題/領域番号 |
16K17416
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丸山 和昭 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20582886)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 専門職 / 職域横断 / 政策過程 / 心理職 / 日米比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幅広い職域にまたがる日米の心理職を事例として、職域横断型資格の成立過程と、認証制度の運用上の課題について明らかにすることにある。本研究の特徴は、職域横断型の資格認証制度において先行する米国の心理職との比較から、日本の職域横断型資格の課題について検討するところにある。 本研究計画では、米国の心理職資格に関する政策過程と認証制度運用の実際と、日本の公認心理師に関する政策過程と認証制度運用の実際について、政策資料及び認証団体・養成課程が発行する資料を対象とした内容分析と、それぞれの関係者に対する聞き取り調査を行う。 計画の3年目にあたる平成30年度は、前年度に収集した米国における心理職資格に関する近年の政策課題、認証制度運用上の課題についての資料、情報について、内容分析を進めた。また、日本の心理職の状況について、特に心理職の研修制度の歴史的な変遷に焦点をあて、臨床心理士資格の制定から公認心理師資格のカリキュラム制定いたるまでの議論を分析した。国内における、心理職の資格と研修制度についての分析からは、心理職の職域の広さが、医師に類するような初期研修の制度化を困難にしており、今後の課題として、個別の雇用領域における初期研修の法制化と、職域を超えた心理職としての横断的な能力向上の仕組みの両立が課題となるであろうとの点を考察した。同時に、臨床心理士等の既存資格における研修制度との調整や、実務経験プログラムと資格取得後の初期研修の関係整理が、心理職における初期研修を法制化する際には、避けて通ることのできない課題であるとの点についても指摘した。 これら、平成30年度の研究成果のうち、日本国内の状況については、専門職の研修制度に関する書籍の一章分として取りまとめた。書籍については、令和元年度に刊行の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度については、国内での資料収集と分析、執筆が中心となり、当初に予定していた海外調査を実施することができなかった。平成30年度に実施予定であった海外調査については、令和元年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、米国における心理職資格に関する政策過程と認証制度運用の実際について集中的に調査を進め、研究の総合的な成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成30年度については、国内での資料収集と分析、執筆が中心となり、当初に予定していた海外調査を実施することができなかった。平成30年度に実施予定であった海外調査については、令和元年度に実施する必要が生じた。 (使用計画)令和元年度については、米国の事例に関する訪問調査と資料収集、及び分析を集中的に実施し、研究の総合的な成果を、教育社会学会大会にて発表する。そのため、経費としては、国内旅費、国外旅費に使用する。その他、関連書籍の購入費用、資料の複写費用、及び資料整理や訪問調査の成果を整理するための補助人員への謝金等として使用する計画である。
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