研究課題/領域番号 |
16K17418
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研究機関 | びわこ成蹊スポーツ大学 |
研究代表者 |
田村 徳子 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 講師 (10738850)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ブラジル / 教育 / 校長 / 地域社会の学校参加 |
研究実績の概要 |
ブラジルの公立学校では、校長を教職員、保護者、児童生徒が一人一票を投じて選考する「校長直接選挙」と呼ばれる制度が存在する。本研究では、校長直接選挙において求められる校長像とその能力を明らかにすることを目的としている。 3か年の研究計画の初年度にあたる平成28年度には、①校長直接選挙で選ばれる校長の特徴についての統計的分析、②対象州の校長直接選挙に関する文献資料の収集・分析、③対象州の校長直接選挙に関する現地調査(聞き取り調査とアンケート調査)という3つの作業をおこなった。①に関しては、ブラジル国家教育研究所(INEP)のデータを用いて、採用方法別に校長のデータを分析した。②及び③に関しては、南部パラナ州及び北部パラー州の教育行政機関と学校を訪問し、校長直接選挙に関する最新の資料収集をおこなうとともに、聞き取り調査をおこなった。また、校長直接選挙に対する教員の見解を把握するために、アンケート調査も実施した。 本年度の主な成果としては、ブラジル国家教育研究所(INEP)のデータから、校長直接選挙で選ばれる校長の特徴を検討した「採用方法からみるブラジルの校長の特徴:校長直接選挙に着目して」(『びわこ成蹊スポーツ大学 研究紀要』第14号)や、校長直接選挙の制度的検討と実態的検討をおこない、行政的専門性と民主的コントロールの関係性を考察した「ブラジルにおける校長直接選挙:行政的専門性確保と民主的コントロールの関係」(『比較教育学研究』第54号)がある。さらに、パラナ州における校長直接選挙の最近の動向について、日本比較教育学会第52回大会で報告するとともに、2015年のパラナ州の校長直接選挙法の改定において、校長に求められる専門性が高まっていることや、校長に対する学校評議会の権限が強まっていることを、日本教育制度学会第24回大会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3か年の研究計画のうち初年度にあたる今年度は、年度当初に立てた計画よりも、現地調査の実施が遅くなったため、そこで得られた資料やデータの分析については、来年度への持ち越しとなる。しかしながら、当初は第2年度に実施予定であった教員に対するアンケート調査が実施でき、予定よりも一層、充実した調査をおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度目にあたる平成29年度では、申請時の計画に、積み残しとなっている初年度に実施した現地調査の資料やデータの分析を加えることで、所期の目的を達成することができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の実施が予定よりも遅れ、年度末の2月~3月に実施したため、現地調査に係る費用の一部に関して、次年度で清算処理することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に実施した現地調査に係る費用の一部が、翌年度の清算処理として持ち越しとなっている。そのため、その清算処理がおこなわれれば、今年度に予定していた助成金はほぼすべて使用される。翌年度分として請求した助成金に関しては、当初の計画にしたがって、使用する予定である。
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