研究課題/領域番号 |
16K17420
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金子 聖子 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50738903)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 留学生 / トランスナショナル教育 / 進路 / マレーシア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、マレーシアで勉強・研究する留学生の学位取得後の進路を、主に国立大学が行う従来型教育と、私立機関によるトランスナショナル教育の種別に着目し、留学先選択の動機との関連から描き出すことである。 今年度は2016年8月、11月、2017年2月の3回にわたって現地調査を行った。調査では、国立大学1校、私立大学3校(イギリスの大学のブランチキャンパス1校を含む)を複数回訪問し、各大学の留学生延べ50名および教職員に、留学の動機と成果、進路選択に関する半構造化インタビューを実施した。また、留学を終え、マレーシアで就職を果たした元留学生、および国立高等教育研究所の研究員にもインタビューを行い、さらに、トランスナショナル教育の成果と将来性に関する国際フォーラムにも参加し、特に欧米大学のブランチキャンパス(分校)の発展経路に関しての情報共有と議論を行った。 本年度の研究成果は次のとおりである。①マレーシアの留学生受け入れの特質が、後発途上国との対等なパートナーシップ作りおよび宗教的な動機に基づく友好促進にあることを明らかにし、先行研究における相互理解アプローチの重要度の低さとは反対の結果を導いた。②トランスナショナル教育を受けた後、母国で就職する者が最も多いのは、留学生の属性の多様化が進んでいるためであると論じた。③卒業後の第三国への移動について、従来から言われている欧米諸国だけではなく、両親の住む中東諸国にいわば「帰国」する者が含まれていることを明らかにした。 これらの研究成果は、2度の国内学会で口頭発表するとともに、『比較教育学研究第54号』、『共生学ジャーナル第1号』の2報の原著論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、マレーシアの従来型教育およびトランスナショナル教育を受ける留学生それぞれの留学動機と進路選択を研究し、その成果を学会発表および論文掲載することができた。このため、受ける教育の種類に着目して新興国へのダイナミックな人材移動を明らかにすることができた点で、当該年度の目的をおおむね達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度明らかにしたマレーシアへの留学動機と進路選択の実態を基礎として、実際に進路を選択した後の元留学生にさらに焦点を当てて研究を進める。具体的にはマレーシアで就職を果たした者、オーストラリアなどの欧米諸国で就職もしくは進学を果たした者の進路形成および留学成果の活用について明らかにしていく。
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