本研究では、地方の工業高校卒業者に対するインタビュー調査から、高校工業教育と初期キャリア形成の関連を明らかにした。職業的な知識・スキルの部分では、工業高校での学習経験と職業経験の間には接続性が実感されることは少なく、むしろ学校や教師が接続を強調することに対して、生徒や卒業生はそれへの疑念を抱くようになっていた。さらに、地方の高卒就職者らによる職業生活や家庭生活のリアリティを検討し、地域労働市場の状況や地元に流通する情報やライフスタイルを彼ら自身が解釈しながら地域的な(ローカルな)キャリア形成の過程を経験していることを明らかにした。これらの知見から高校職業教育をめぐる示唆と課題を明らかにした。
|