研究課題/領域番号 |
16K17448
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中井 悠加 広島大学, 教育学研究科, 助教 (40710736)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 詩創作指導 / 比較国語教育 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、(1)理論研修:ワークショップ型研修会の実施と効果検証をすること、(2)実践開発:言語を超えたリテラシー実践を開発すること、の2点を研究課題とした。 1点目の理論研修では、英国を中心として国際的に詩教育研究を牽引するSue Dymoke(スー・ディモク)准教授(レスター大学)およびヤングアダルト小説家であるDavid Belbin(ディビッド・ベルビン)上級講師(ノッティンガムトレント大学)を招聘し、詩と物語創作のためのワークショップおよび研究セミナーを開催した。 実施されたクリエイティブ・ライティングおよび詩創作ワークショップでは、主に教員志望学生や研究者、現場教師を対象としており、参加者のアンケートからは創作指導の授業開発にむけた理解が深まったとの回答を得た。 2点目の実践開発においては、ワークショップにおける導入・記述・交流の展開方法に基づき、参加者によるアンケートの記述をふまえた上で、日・英両言語によるウェブ教材として広く公開する予定であり、現在サイトの立ち上げに着手している。また、ワークショップの中から見た、日英に共通する課題として「自由(freedom)と「言語的・創造的リスク(linguistic creative risk)」の2点を鍵となる概念として定め、日英両方の立場から考察を深めている。その成果として、現在ディモク准教授との共著を執筆中である。 さらに、学習者の書いた作品を評価するための日英共通の評価指標の構築にむけた考察を進めている。そこで得られた知見に基づき、日本の小学生によって書かれた詩集の解説を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題(1)に関しては、前年度末の予定通り理論研修を開催することができ、日英共同研究の出発点としての参加型ワークショップの実施を行うことができた。また、その成果について、日英の研究者を対象とした論文を共同執筆する作業が進んでいることは、我が国の国語教育研究においても意義のある成果が見込める。 (2)に関しては、教材・活動展開・評価という諸観点から、国際的汎用性をキーワードとした実践開発を進めることができており、当初の予定通りであるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、次の通り研究の重点を置いて遂行することを計画している。 (1)抽出した鍵概念を軸とした日英共同の比較考察をさらに進めることで、国や言語の別を超えたリテラシー育成モデルとしての創作指導論を構築する。 (2)開発した実践の効果検証も見据え、国際的汎用性を備えた評価指標を作成する。 (3)(1)、(2)の成果をまとめ、国内外の学会誌に論文として発表する。
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