研究課題/領域番号 |
16K17450
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐原 理 徳島大学, 大学院総合科学研究部, 准教授 (80445957)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NCCAS / メディアアート / 美術教育 / 映像メディア / 芸術教育 / アメリカ合衆国 / 米国 / メディア教育 |
研究実績の概要 |
本研究では、米国の教育の概観とP21が示す『21st Century Skills Map』またSEADAEが示したメディアアートのスタンダードを体系的にまとめたい。その上で、P21およびSEADAEの示すICTの利活用方法と特徴、また課題点を明らかにする。さらに、米国の教育実験校等で行われる教育実践事例を参照し、現場での質的な課題を調査した上で米国のメディアに関わる芸術教育の資料を作成し公開したい。加えて、米国の事例を省察し我が国の美術教育への有益性を鑑みた上で、特に義務教育課程である中等教育における美術科の映像メディア領域のあり方を模索する。また、我が国の映像メディア領域の特徴は身体と映像を連関させることにある。その点を十分に考慮した上で現状の現場教育に即し、21世紀に展開可能な教科内容学のモデルを提案することを本論の目的とした。 本研究の第1フェーズ(平成28年度計画)は、2002年に示され、2015年現在全米の約40%の州で導入されているPartnership for 21st centuries(以下P21と表記)の示した芸術教育のスキルスマップを翻訳し、その中での情報、メディア、テクノロジーの取り扱いや、芸術科目がどのような教育的意義を持ち21世紀に生きる学生に必要なスキルを獲得させるのに貢献できるのか翻訳しまとめた。また、メディア表現( Media Art)に関わるナショナルスタンダードの概要と授業資料を翻訳し、P21が示す芸術とメディア教育に関わるカリキュラムとの相関と位置づけの調査を行った。その上で「米国のメディアアートカリキュラムに学ぶ映像メディア領域の方向性―NCCASが示すメディアアートカリキュラムで育む能力―」を執筆し大学美術教育学会誌に投稿し掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画自体は当初の予定どおりの進行である。さらに、我が国における映像メディア領域の教育実践などについても高校などで実践できる機会にあったため、当初予定の第4フェーズとして設定した我が国の美術教育の教科内容学を論考する上で有益で重要な資料作成をやや先行して進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
第2フェーズ(平成29年度計画)では、第1フェーズで捉えた米国の芸術教育の動向がどのように取り計らわれているのか、学校現場でのメディアアート授業調査を行う。そこで、各州に遍在する教育実験校から幾つかを絞り、実地の情報収集と研究対象校の選出を行う。現在は、カリフォルニア大学チコ校の徳雅美先生にご協力いただき、先進的な取り組みを行う高校への実地調査を行う予定である。選出した実験校の授業実践観察を通し、得られた映像や資料等をまとめ公開できるように手続きを進める。その後半構造化インタビューを行い、質的にどのような点が課題として現場で受け止められているのかを明らかにしたい。インタビュー調査等は現地での活動に加えWebやSNSを通してフォローアップする。また調査内容を精査し、第2フェーズのまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費等、本来であれば米国に赴き取材するところを先方が来日されたことによりその分の旅費代が少なくなったために次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品等にて消費予定。
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