教科化に伴い、道徳授業の方法や評価の研究が進められているものの、学校の教育活動全体で行う道徳教育が重要であることに変わりない。しかし、各教科における道徳教育については、内容面での連携が語られても、知識獲得・伝達に内在する道徳性が検討されることは少なかった。対して本研究は、知識それ自体の条件ではなく、知る人の性格や態度に光を当てる徳認識論を援用し、「開かれた心」や「知的な謙虚さ」に含まれる道徳的側面を明らかにした。そうすることで、知的に安全な学級の中で他者の意見に耳を傾けるという学習の形式に基づいて、学校の教育活動全体で行う道徳教育のカリキュラムを構想することができた。
|