研究課題/領域番号 |
16K17452
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
花坂 歩 大分大学, 教育学部, 准教授 (20732358)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 読みにおける想像力 / 演劇的手法 / 読書コミュニティ |
研究実績の概要 |
平成28年度は(1)「演劇的手法によって、「読むこと」における想像は豊かになるのか?」への探究 (2)実践理論のブラッシュアップと波及を目指した知的交流の場(=アゴラ(広場))の構築準備、という2点に取り組んだ。 (1)については、小学校教諭2名の協力を得て、演劇的手法を採り入れた授業実践研究を2本行い、1本の論文としてまとめた。また、そのために必要な基礎研究として、授業で使用する作品(三木卓『のらねこ』)についての学習材研究に関する論文1本、同作品を用いた発問開発の論文1本を発表した。3本の論文によって、演劇的手法による学びが従前の評価規準でははかれない多層的な学びを生み出すことを確認できた。この成果は次年度の少人数学習へと応用することが期待できる。 (2)については、研究協力者会議兼学習会を9月、11月、1月に開催し、研究成果の報告と多様な人材のとのつながりを強めた。9月の会議兼学習会には14名の参加(学生6名、小学校教諭4名、中学校教諭2名、一般企業1名、指導主事1名、大学教員1名)。研究代表者による研究成果の報告(演題::次代を見据えた授業構築力とは)の他、現職教諭1名、一般企業1名から、コミュニティ作りについての発表。11月の会議兼学習会には7名の参加(学生3名、小学校教諭2名、中学校教諭1名、大学教員1名)。研究代表者による成果報告の上、「全国学テの順位降下という事態に教師の努力だけでどうにかできるのか? 」をテーマにコミュニティ形成の協議を行った。1月の会議兼学習会は、大分県小学校教育協議会国語部会事務局との共催で行った。10名参加(県内の小学校教諭9名、大学教員1名) 研究実践協力者の2名とともに、「演劇的手法を採り入れた読むことの授業の共同研究成果」を発表の上、協議した。定期的に学習会を開くことで、研究活動の認知度が上がりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想像力を育む「読むこと」の授業開発については極めて良好である。 平成28年度は読みにおける身体性の関与に注目し、演劇的手法を採り入れた授業を行った上で、現象学の知見を参考に、授業現象を考察した。それにより、ワークシート等でははかれない読みの様相(目視による感受)を確認できた。今後の課題は、それをどう客観的な評価に結び付けるかである。 「読書教育に取り組む様々な人材が集う場=アゴラ(広場)」構築については、当初、自然体験施設での大規模実施を考えていたが、配分予算の関係上、公共施設の会議室を用いた縮小の方向で進めている。現在、小さな学習会を会議と同時開催として実施し、裾野を着実に広げているところである。これまで、研究代表者の他、小・中の現職教諭、学生、一般企業、指導主事といった多様な人材を集めることに成功している。また、すでに、今後の学習会には保護者の参加も見込まれている。規模拡大についての課題はあるが、当初の目標に掲げていた「様々な人材が集う場」作りについては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的(1)について、29年度は「少人数学習と個別学習とでは想像はどのように異なるのか?」の実践研究に取り組む。すでに授業実践協力者からは内諾を得ており、実施時期を検討している最中である。 研究目的(2)については、研究協力者会議兼学習会を6月、9月、11月、1月に開催予定である。それぞれの進捗状況を確認するとともに、保護者が参加できるような学習会を企画し、読書コミュニティ作りを前進させる計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コストカットにより、当初予定より若干の残金を生むことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品、書籍等の購入にあてる。
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