本研究では以下の2点を試みていた。 (1) 想像力の育成を目指し、「演劇的手法による動作化」(H28)、「少人数学習による効果」(H29)、「音読・朗読・群読の効果」(H30)の3点を、授業実践を通して考察する。 (2) 読書教育に携わる教師、地域人材、社会教育関係者等が交流する「リーディング・アゴラ(読書の広場)」(自然体験施設等で開催する読書教育の場)を構築する。 【研究成果】 (1)の実践的理論研究では、演劇的手法、学校図書館を場にした自主的・少人数的学習、色彩心理学を援用した感性を育てる小集団授業を実施し、子どもたちが体や感性を働かせる学びを好むこと、その過程そのものを楽しむということを多種多様に確認できた。 (2)の「リーディング・アゴラ」の構築については、H29年度は大分大学学術情報拠点(図書館)主催の「大人向けの読み聞かせ会」への参画、H30年度は朗読に関する公開講座を4回実施し、高校生、大学生、主婦、子ども食堂の経営者、司書教諭との交流を重ねた。そこで得たものは、想像の楽しみは、テキストの理解の後に訪れるのではなく、理解に向かう過程に生み出されるということであった。なお、本研究は、前年度申請による採択を受け、最終年度の研究を残し、廃止した。研究そのものは順調であった。上記(1)の実践的理論研究も順調、上記(2)の「リーディング・アゴラ」の構築についても実施の見込みはついていた。しかし、研究が進むにつれ、環境要因が読書の「豊かさ」に大きく影響するということがわかってきた。特に、不特定多数の参加者が集う読書の広場では、学びの要素だけでなく、そこに集う心地よさが不可欠であった。それを生み出すためには、空間(環境・雰囲気)に着目した多角的な考究が必要であることが明らかになった。以上の事由により、当該研究計画の発展的解体及び次の研究課題への移行が認められた。
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