研究課題/領域番号 |
16K17455
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
岡本 牧子 琉球大学, 教育学部, 准教授 (00432906)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 和紙 / アオガンピ / 栽培 / 技術科教育 |
研究実績の概要 |
日本の手漉き和紙技術は、ユネスコの無形文化遺産に登録されるなど世界に発信できる日本独自の文化である。特に南西諸島及び台湾に生息するアオガンピ(青雁皮)を原料とする琉球紙の製造技術は、沖縄県独自のテーマとして特色のある教材となるが、原料の調達が困難なため持続可能な教材として未だに確立していない。本研究では、学校現場での原料調達を可能にすべく、中学校技術科の生物育成領域の学習教材として取り扱えるようアオガンピの栽培方法やコスト、学習指導計画等を提案し、沖縄県独自の和紙製造技術を教材化することを目的としている。 平成28年度は、沖縄本島南部の自生地域より琉球大学教育学部構内に移植されたアオガンピより、2ヶ月間で約20個の種子採集に成功した。苗の管理を考慮し、約2~3ヶ月程度常温保存したのち播種を行ったため、種子の処理を行ったにも関わらず発芽には至らなかった。しかし、本年度行っていたアオガンピの開花時期の観察などから、沖縄本島では9月中旬にアオガンピが開花し、10月下旬には種子が採取できる事が分かった。これは西表島の採集時期より約1ヶ月早い時期である。種子が採集できる時期が2ヶ月程度ある事から、種子の処理を行うのは1週間程度とし、採集時期に合わせて播種する方法を選ぶことが、発芽率を高めると考えられる。また高い発芽率をもつ西表島の砂と沖縄本島で入手が容易な市販の川砂を比較した結果、播種を行う砂も重要な要素であり、砂の粒径は水はけや保水量に直接影響することから、慎重に選別しなければならないことが分かった。 さらに、西表島のアオガンピ自生地域の調査から、紙の原料としてアオガンピを利用するには、自生環境とは異なる環境で育成しなければならないことも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
苗の管理を考慮し、約2~3ヶ月程度常温保存したのち播種を行ったため、種子の処理を行ったにも関わらず発芽には至らなかった。そのため平成29年度は予定していた苗を育成することができなくなった。現在は種子の処理だけではなく、高発芽率をもつ西表島の砂と市販の砂の粒径や保水量などを調査している。
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今後の研究の推進方策 |
発芽率を高める条件をあきらかにする調査を引き続き行い、平成29年度の種子採集に向けて準備を進める。また構内に移植したアオガンピを用いて、校庭における露地栽培に必要な育成条件の計測、記録をひきつづき継続する。種々のデータ計測方法については、技術科の情報分野のテーマとなるため、教材としての活用を検討する。
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