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2017 年度 実施状況報告書

科学的探究を見通す能力を育む教授ストラテジーの開発―探究の全体像と多様性の理解

研究課題

研究課題/領域番号 16K17456
研究機関常磐大学

研究代表者

石崎 友規  常磐大学, 人間科学部, 助教 (60747020)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード理科教育 / 探究学習 / ナラティヴ / シュワブ / ブルーナー / 探究の全体像
研究実績の概要

シュワブの探究学習論やそれに関連する文献の吟味を継続し,探究学習に関する研究動向を探った。また,我が国で「自由研究」と称して課される探究課題について,子どもたちの作品を取り上げてその特徴を分析した。その結果,探究のナラティヴの題材となり得る事例を抽出することができた。なお,学習指導要領が改訂されたことに伴い,理科各学年の目標における問題解決能力の観点も改訂されている。そうしたことから,開発する教授方略が教育実践上の状況とかけ離れたものとならないよう,開発の観点も見直す必要が生じている。
また,ブルーナーのナラティヴ論に関する検討を引き続き行った。その結果,探究の過程で生じる困難や,それをどのように乗り越えたか,その解決のためにどのような探究をしたか,未解決の問題は何か,等々を含むナラティヴが重要である,との見解は,シュワブ,ブルーナーとも共通していたことが明らかとなった。ブルーナーの立場では,探究を物語的に語る際,語り手は語ろうとする内容を解釈する必要があり,解釈学的循環がナラティヴの理解に不可欠であるとする。一方,科学的探究そのものにも,ある種の循環性が認められる。こうした解釈学的循環が,科学的探究の過程をメタ的に理解させるための教授方略を開発する視点となることを,日本科学教育学会にて発表した。
さらに,ブルーナーがナラティヴについて論じた際,教授法の一つの好例として取り上げた映像教材があることが明らかとなった。その映像はループフィルムとして残っている可能性があったことから,フィルムの探索を行った。年度後半から,フィルムの整理・分析作業を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ブルーナーによるナラティヴ論の追加精査を進めたところ,ブルーナーがナラティヴの題材として着目していた教育用ループフィルムが存在していることが明らかになった。平成29年度は,そのフィルムの検索に予想以上の時間を費やしたものの,類似のフィルム数十本を入手することができた。このため,フィルムを再生しながら整理し,内容の分析を行う必要が生じたことから,追加の時間を要することとなった。

今後の研究の推進方策

追加で調査したループフィルムの整理・分析作業を早急に進めて,探究過程をメタ的に理解するための教授方略の観点を抽出し,ブルーナーが指摘した観点と総合して教授方略をまとめる。
その後,開発した教授方略をもとに複数の中学校等を対象とした実証的研究を行う。そのために関係各所との連絡調整を引き続き行う。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
平成29年度は,ループフィルムの分析等,当初予想していなかった研究計画の変更が生じ,科学研究者や学校現場教員へのインタビュー,教育実践については,その実施を平成30年度に持ち越すこととなったため。
(使用計画)
科学研究者や学校現場教員へのインタビューを行うため,音声記録用のICレコーダー,データバックアップ用のハードディスク,記録メディア(DVD等),デジタルビデオカメラ等を購入する。また,授業実践に向けたインタビュー,研究成果を発表するための出張旅費,謝金に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 科学的探究の過程に関する理解と探究のナラティヴ2017

    • 著者名/発表者名
      石崎 友規
    • 雑誌名

      日本科学教育学会研究会研究報告

      巻: 31 ページ: 23~28

    • DOI

      https://doi.org/10.14935/jsser.31.6_23

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 科学的探究の過程に関する理解と探究のナラティヴ2017

    • 著者名/発表者名
      石崎友規
    • 学会等名
      日本科学教育学会

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公開日: 2018-12-17  

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