本研究は、教師の主観・経験のみに頼ることなく、生徒のニーズに合った最適の教科書が選定できることを目指し、「英語でできること」をリスト化した「英検Can-doリスト」を活用するプログラムを開発した。英語教育における効果的な教科書選定は重要な課題である。しかし、教科書選定は、教師の主観・非明示的情報に依存し、生徒の到達度や要求に適切とは言い難い。また、教育現場の教師は多忙で、多くの時間を教科書選定に費やすことはできず、時間をかけずに適切に教科書評価を行う方法の開発が必須であった。 また、教師経験の多いベテラン教師と経験の少ない若手教師では、教科書選定の経験も選定方法も異なることが考えられた。本研究で開発した評価方法が、教科書選定における教師経験の差を縮める教師支援ツールとしての効果があるかどうかの検証も行った。平成28年度には、「英検Can-doリスト」と紐付けが終わっていない教科書内のタスクをレベル別に分けた。また、協力者である英語教師にプログラムを試用してもらい、フィードバックをもらいプログラムの改良を測った。また、利便性を考え試作版のアップル社iPad対応のアプリを作成した。平成28年度から29年度にかけて、高等学校教育現場で勤務する英語教師に教科書選定プログラムを実際に使ってもらい教科書を選定してもらった。そのアプリケーションと使用状況については、平成29年度の中部英語教育学会、デジタル教科書学会で発表した。
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