研究課題/領域番号 |
16K17463
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
蔦森 英史 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60708478)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 予期メカニズム / 運動系列学習 / 発達性読み書き障害 |
研究実績の概要 |
発達性読み書き障害児・者は訓練をしても書字及びタイピングのスムーズな遂行が困難となっている。書字やタイピングは一種の系列運動として考えられるが、訓練しても自動化が困難であるという背景要因として著者は系列運動の予期メカニズムの欠陥が関与していると考えている。典型発達児・者であれば訓練することで次に遂行すべき系列運動を手がかり提示前に実施可能であったり、手がかり提示前に視線を動かすといった予期反応が観察されることが知られている。一方発達性読み書き障害児・者は予期反応が難しく、手がかりに誘導される形で視線や反応を行う可能性を考えている。 Matlabを使用し系列運動の学習過程を検討するための認知心理学実験のプログラムを組んでいる。同じ系列が反復して提示される系列条件と、ランダム条件を使用し、系列を予測することによる反応の速さか、それとも単純なボタン押しの速さかを比較できるようにしている。大学生を対象に10分程度の訓練で予期的反応が可能な系列数を検討中である。5系列を実験を通して訓練しているが、予備実験の参加者を増やしこの系列数が妥当か検討していく。 予期メカニズムを検討する指標の一つとして、反応時間と正当数のみを候補と考えていたが、予期的に反応する前に視線の移動が観察されることから、反応時間、正当数に加えて視線を同時計測し予期メカニズム検討の指標としていく。 平成29年度中に発達性書字障害児・者に対する予備実験の実施も検討している。現時点で4名の当事者が研究に協力可能な状態にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において、予期メカニズム検討の指標として反応時間、正当数のみを使用予定であったが、視線計測も同時に行う準備を進めている。現在使用している実験用ソフトMatlabの入ったMac mini とは別に、眼球モニタ専用のディスプレー、眼球の座標位置をオンラインで計測するためのHost PC、眼球運動計測用のカメラとレンズ、赤外線専用の照明を購入し計測装置を作成する予定である。また視線計測のソフトとしてSGT Toolboxの使用を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
大学生を対象とした予備実験及び本実験を今年度中に実施する。現時点で予備実験段階であるため、発達性読み書き障害群のデータを取得する時期はずれる可能性がある。しかし著者は発達性読み書き障害児・者と臨床で関わる機会を設けている。そのため、発達性読み書き障害児・者に参加者として研究協力を依頼しやすい環境を整えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定では実験補助の学生に謝金を払う予定であったが、予備実験ということもあり研究者自身が実験を行うことが多く、次年度の予算に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
眼球運動の測定装置作成に予算が必要である。その部品となるカメラ、レンズ、赤外線ライトなどに対し繰越し金を使用して購入を考えている。その他、計画書に基づき予算を使用することを計画している。
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