研究課題
Autism Spectrum Screening Questionnaire(ASSQ, Ehlers et al. 1999)はもともと学齢期(7歳から16歳)のHF-ASDのスクリーニング尺度として開発された経緯があるが(Ehlers & Gillberg 1993)、知的水準に関わらずASD全般に対する適用において、信頼性・妥当性、良好な識別精度が確認されている(Ehlers et al. 1999)。国際的にもその高い識別精度が繰り返し確認されているASSQであるが(Kim et al., 2011)、Ⅰ. わが国においては、識別精度の十分な検証がされていない。加えて、Ⅱ.従来の適用年齢である学齢期においては、二次的不適応のリスクが高まるため、より早期での適用が求められるが、幼児期での適用可能性の検証は国際的にも行われていない。本研究はこの2点に着目し、検証を進めてきた。28年度は、5歳児の保護者503名からASSQ-Parentform(ASSQ-P)の回答を得た。また、このうち451名については、保育園・幼稚園教諭からもASSQ-Teacherform(ASSQ-T)の回答が得られた。コミュニティサンプル群468名とASD診断群6名を対象とし、Receiver Operating Characteristic(ROC)分析を用いて予備的解析を行ったところ、ASSQ-Pにおいては、Area Under the Curve(AUC)=.952、ASSQ-Tにおいては、AUC=.941と、どちらの尺度においても優れた識別精度が示された。さらに、両尺度の合算値を利用するMAX ASSQでは、AUC=.981と各尺度を単独で利用するよりもさらに優れた識別精度が示された。
1: 当初の計画以上に進展している
ASSQ短縮版の論文が掲載されたこと、また、サンプルの収集という側面からも、計画通り約500名のサンプリングを終えることができ、順調に推移しているため。
本研究は、初年度の半期を準備期間にあて、以降各年度半期に500名ずつサンプリングを行い、合計4期で約2000名のサンプリングを予定している。初年度は、計画通り約500名のサンプリングを終えることができたため、次年度においても初年度同様の研究計画に従い、研究を進行させることで、問題ないものと考える。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
Pediatrics International
巻: 印刷中 ページ: -
10.1111/ped.13281
児童青年精神医学とその近接領域
巻: 57 ページ: 603-617
Research in developmental disabilities
巻: 55 ページ: 268-278
10.1016/j.ridd.2016.05.002
日本生物学的精神医学会誌
巻: 27 ページ: 60-64
臨床心理学
巻: 16 ページ: 145-150
巻: 57 ページ: 254-260
http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~kodomono/
http://researchmap.jp/-------/