研究実績の概要 |
ASSQ(Ehlers et al., 1999)は、もともと学齢期(7歳から16歳)の高機能自閉症(HF-ASD)のスクリーニングツールとして開発された経緯があるが(Ehlers et al.,1993)、知的水準に関わらず良好な識別精度が確認されている(Ehlers et al., 1999)。国際的にもその高い識別精度が繰り返し確認されているASSQであるが(Posserud et al,2009; Mattila et al., 2012)、Ⅰ.我が国においては、識別精度の十分な検証がされていない。加えて、Ⅱ.従来適用年齢である学齢期においては、二次的不適応のリスクが高まるため、より早期での適用が求められるが、幼児期での適用可能性については国際的にも精緻な検証が行われていない。本研究はこの2点に着目し、検証を進めてきた。 平成29年度は、平成28年度に引き続き、966名の保護者からASSQの回答を得た。また、これまでの調査においてASDの診断がついた児に対し、診断の妥当性を担保するため、ADI-R、ADOS-2によるアセスメントを進めた。得られたADI-RとADOSのデータを用い、ASSQとの相関分析を行ったところ、ASSQとADI-R、ASSQとADOS-2には一定の正の相関関係が示され(ADI-R:r = .631, n=31; ADOS: r = 0.478, n=31)、ASSQの併存的妥当性が確認された。 上記の内容を含め、ASSQの診断的妥当性についてまとめた論文を、現在投稿中である。
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