研究実績の概要 |
ASSQ(Ehlers et al., 1999)は、もともと学齢期(7歳から16歳)の高機能自閉症(HF-ASD)のスクリーニングツールとして開発された経緯があるが(Ehlers et a., 1993)、知的水準に関わらず良好な識別精度が確認されている(Ehlers et al., 1999)。国際的にもその高い識別精度が繰り返し確認されているASSQであるが(Posserud et al,2009; Mattila et al., 2012)、Ⅰ.我が国においては、識別精度の十分な検証がされていない。加えて、Ⅱ.従来適用年齢である学齢期においては、二次的不適応のリスクが高まるため、より早期での適用が求められるが、幼児期での適用可能性については国際的にも精緻な検証が行わていない。本研究はこの2点に着目し、検証を進めてきた。 最終年度はこれまでのデータをまとめPLOS ONEに投稿し、下記の内容が掲載された。ASSQについて、ASD児60名、その他の神経発達症(NDD)と診断された児94名、コミュニティサンプル1390名を対象に識別精度を検証したところ、幼児期においても極めて良好な識別精度を持つことが示唆された(AUC = .960 95%CI= .939-.981)。同時にASD以外のNDDが含まれる場合には、識別精度が低くなることも明らかとなり、使用場面によって適切なカットオフポイントを設定する重要性が示唆された。コミュニティで推奨されるカット値は7点、この得点の感度は、0.93、特異度は0.84であった。
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