本研究は、自閉スペクトラム症(ASD)児の自己理解や他者理解の特性および、典型発達(TD)児との関係性の中でのASD児の自己理解や他者理解の特性と支援方法を検討することを目的とした。本研究は、主に2つの研究を軸に遂行してきた。その研究1は、幼児のASD児の自己理解や他者理解の発達を教師や友達との関係性形成の観点からとらえることであった。研究2は、小学校に在籍するASD児を対象とし、TD児との関係におけるASD児の自己理解や他者理解の心理特徴について検討することであった。 今年度は引き続く新型コロナウィルス感染拡大によるパンデミックの影響もあり、教育現場での研究を控え、これまでの研究をまとめる作業を中心に行った。これまでの研究結果をまとめ、国際ジャーナルに投稿するための準備や、これまでの研究データを整理し、国内ジャーナルに投稿する準備を進めた。具体的に、研究1の縦断研究は、2020年に中間報告として研究成果を発表しているが、2年間のデータや保護者の日誌も含めたより広い観点での詳細な分析を行い、論文投稿の準備を行った。また、研究2についても、これまで得られたデータを分析し、まとめる作業とともに、今後より発展させるための作業を行った。
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