本研究は、自閉スペクトラム症(ASD)児の自己理解や他者理解の特性を、教師や典型発達(TD)児等の他者との関係性の中でとらえ、ASD児の自己理解や他者理解の発達を促進する要因や支援方法を検討することを目的とした。この研究から、以下の二つの点が示唆された。一つ目は、幼児期のASD児における他者の存在や心的状態を理解する発達は、教師との愛着といった関係性を基盤にして促進される点である。二つ目は、児童期のASD児の自己理解は、交流学級のTD児との関係性が影響を与えることや、TD児との良好な関係形成がASD児の学習意欲の向上・維持や学校生活全般における適応感を高めることにつながることが示唆された。
|