研究課題/領域番号 |
16K17473
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
後藤 多可志 目白大学, 保健医療学部, 専任講師 (50584231)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発達性読み書き障害 / 音読 / 流暢性 / 眼球運動 |
研究実績の概要 |
学習障害(LD)の中核と考えられている発達性読み書き障害のある児童(以下、発達性読み書き障害児)は、日本での出現頻度が約8%と報告(Uno et al., 2009)され、発達障害の中では最も多い障害群である。発達性読み書き障害の読み(音読)においては、正確性と流暢性に問題が生じる。文字の認識に視覚的な処理が大きく関与していることは言うまでもなく、発達性読み書き障害児の音読の正確性や流暢性に視覚的要因が与える影響に関しては様々な研究が行われてきた。その中で、未だ十分な検討が行われていないのが発達性読み書き障害児の音読と眼球運動機能との関係である。発達性読み書き障害児において、眼球運動機能は音読の正確性(正答数)には影響を与えないことが示されている(後藤ら, 2010)。しかし、文字列から音韻列への変換が規則的なひらがなやカタカナにおいて、主たる問題となる可能性が高い音読の流暢性(音読速度)との関連については、現在まで世界的にも検討が行われていない。本研究では、日本語話者の発達性読み書き障害児群を対象に、1)眼球運動機能と音読の流暢性の関係を検討するとともに、2)眼球運動トレーニングの効果が音読の流暢性に与える影響を明らかにすることを目的とする。 本年度は、本研究の関連研究(発達性読み書き障害児の音読の正確性や流暢性に視覚的要因が与える影響、発達性読み書き障害の背景となる認知障害仮説の1つである語音想起障害仮説の検討等)について、国際学会を中心に発表を行うとともに、国外雑誌に論文を投稿した。また、第1研究(発達性読み書き障害児における眼球運動機能と音読の流暢性の関係を検討するために、対照群となる典型発達データの収集を行う)と第2研究(発達性読み書き障害児を対象に、眼球運動機能と音読の流暢性の関係を検討する)の遂行のために実験計画を詳細に検討するとともに整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、第1研究・第2研究について、データ収集を開始する予定であったが、実験計画の詳細な検討と整備にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
国内外での学会発表を控え、実験データの収集に努める。 現在、典型発達児・発達性読み書き障害児ともに、リクルートを進めているところである。また、眼球運動機能の評価に関しては、評価の精度を上げることを目的に専門家に指導を仰ぐ予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 日英翻訳にかかる費用が予定よりもやや少なかった。次年度使用額は生じているものの非常に少額であり、平成29年度における研究費の使用はほぼ計画通りと考えている。 (使用計画) 平成30年度に関しても、当初の計画通りに使用する予定である。
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備考 |
1)産学連携:彩の国ビジネスアリーナ2018/産学連携フェア出展 2)10th Asia Pacific Conference on Speech, Language and Hearing: APCSLH 2017:The Best Poster Presentation Award 3)統計コンテストSPSS Datathon 2017:優秀賞
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