研究実績の概要 |
本研究は,国内の学校教育において期待されているものの,これまで我が国の特別支援教育のフィールド研究では取り上げられることがほとんどなかった私立中 学校の支援研究に焦点を当てている。具体的には,私立中学校に在籍する特別な支援(不登校・いじめ・非行・暴力行為・発達障害・精神疾患等)を要する生徒の現況に即した支援方法の構築を目的としたガイドブックの開発とその有効性を検証することである。 平成30年度は,平成29年度に実施した私立中学校に在籍する特別な配慮を要する生徒を対象として,本人・教師に質問紙・聞き取り調査の結果をまとめた。調査の結果では,中学入試時の偏差値によって,特別な支援ニーズ(配慮するポイント)に相違がみられた。加えて,支援の困難さや対応の工夫について,性別に有意差が生じることが明らかとなった。これらの結果をもとに,ガイドブック作成・学会における報告・論文作成を実施した。また,発達障害の可能性がある生徒に対して実施した支援実践の効果も,事例研究として学会等で発表した。 残念ながら,期間中にガイドブックは完成に至ることができなかった。しかし,研修会や学会での発表を通して,本研究において得られた成果を私立中学校の教員や関心のある研究者等に伝えることに繋がったと確信している。また,国際学会においても発表を行い,我が国における私立中学校の特別な支援が必要な生徒の現況を国外の研究者や実践者にも伝えることが出来,国際的な研究として,様々な意見を交換することに繋がった。
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