現在、読む対象物は多様化しており、文字で表示された情報は読みやすい環境で提供されなければならない。なかでも視覚障害(以下、弱視)においては、見え方が多様であるため、読みやす い環境もまた多様となる。そこで本研究では文字サイズと文字のもつ複雑さの観点から弱視者の読み特性を把握し、環境整備に努めた。研究内容は以下の通りである。Ⅰ 弱視児童生徒への指導経験がある教員に対してインタビュー調査を実施し、弱視者が読みにくさを感じる文字および文章について実態を把握する。Ⅱ 弱視者の読みの特性について、文字サイズの拡大と文字のもつ空間周波数に着目し、文字の識別時間と眼球運動の有無を測定することにより検討する。Ⅲ 弱視者の読みの特性について、文字サイズの拡大と文字のもつ空間周波数に着目し、文章の読速度を測定することにより検討する。 平成28年度は関連論文の収集・論文精読を行った。また日本特殊教育学会第54回大会および第58回弱視教育研究全国大会(群馬大会 )に参加し、情報収集を行った。平成29年度は関連論文の収集・論文精読を行った。またオランダで開催されたVision2017に参加し「Effects of moving window and notation system for fractions on computational speed」のポスター発表を行った。平成30年度は、中学校の教科書を参考に使用する文字や文章の選定を行った。今後選定した内容をもとに、弱視者の読みの特性について、文字サイズの拡大と文字のもつ複雑さに着目し、文字の識別時間と眼球運動の有無や、文章の読速度を測定することにより検討する。
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