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2016 年度 実施状況報告書

分子の電荷自由度を論理演算に応用するデバイス「量子セルオートマトン」の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K17489
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

田原 圭志朗  兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教 (50622297)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード混合原子価 / 金属錯体 / 非イノセント配位子 / カテコール / 混合原子価 / フェロセン
研究実績の概要

平成28年度は、量子セルの候補化合物を合成化学的に探索し、その物性評価を行った。レドックス中心と組織化部位を兼ね備えた基本ユニットとしてカテコールに注目し、これを共有結合で連結したビスカテコールの化合物群を開発した。この化合物群は、シグマ結合で架橋したビフェニル体、ベンゼンのパラ位とメタ位で架橋したターフェニル体、ベンゼン環を縮環させたフェナントレン体からなる。これらのビスカテコールは、2つのカテコールの成す角度やその自由度が異なるため、金属イオンと配位させたとき、異なる組織体を形成することが期待できる。特に、今回新規に開発したフェナントレン型は120度という決まった角度を持つため、ディスクリートな組織体開発に繋がると期待される。このビルディングブロックの性質を明らかにするため、レドックス不活性で、平面型の配位構造をとる金属イオンとしてパラジウムを選択し、二核金属錯体の化合物群を得た。これらの二核錯体は、1電子酸化した溶液中で、カテコール―セミキノン間の分子内電子移動による原子価間電荷移動吸収した。これにより、このビルディングブロックが混合原子価状態を取ることが見出され、量子セルとしての必要条件を満たすことが確認できた。また、カテコール部位に収容される正電荷の局在性についての知見を得るため、フェロセンとカテコールを連結した配位子を用いて新規パラジウム金属錯体を開発し、ビスカテコラト二核パラジウム錯体との比較を行った。この結果、正電荷はフェロセンに局在化されやすく、カテコール部位では非局在化されやすいことを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は10月に大学を異動し、研究環境が変わったため、当初計画より研究が遅れる部分があった。また、今年度使用した化合物の取り扱いの困難さから、予想以上に時間を割く必要があっため、当初計画より研究が遅れる部分があった。

今後の研究の推進方策

今今後は、取り扱いが容易な有機レドックス分子やコバルト錯体を基幹物質にする予定であり、研究を効率的に進めていく。新たな学部生3名と協力し、研究を推進していく。

次年度使用額が生じた理由

予想以上に使用している化合物の取り扱いが困難であった。また今年度は10月に大学を異動し、研究環境が変わった。これらのため、研究の進行が一部遅れているため。

次年度使用額の使用計画

当初の翌年度請求分に加え、適切な化合物の新たな合成・探索のため、試薬・消耗品等の購入に充てる。さらに、得られた化合物の機能評価のための物品購入に充て、研究を遂行する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Synthesis and electrochemistry of a ferrocene conjugate of a Pd(II) diimine catecholate complex and its charge transfer properties in the one-electron-oxidized form2016

    • 著者名/発表者名
      Keishiro Tahara, Shogo Akehi, Tomoya Kadowaki, Jun-ichi Kikuchi
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 89 ページ: 1041-1047

    • DOI

      10.1246/bcsj.20160109

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 三配位ホウ素置換基を導入したトリアリールアミン二量体の合成と物性2017

    • 著者名/発表者名
      田原圭志朗・小山悠也・小澤芳樹・阿部正明・菊池純一
    • 学会等名
      日本化学会第97春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス(横浜市)
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-19
  • [学会発表] Theoretical Studies on Performance of Quantum-dot Cellular Automata made of Mixed-valence Biferrocenium Complexes2017

    • 著者名/発表者名
      Fumiya Odate, Ken Tokunaga, Keishiro Tahara, Mitsunobu Sato
    • 学会等名
      日本化学会第97春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス(横浜市)
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-19
  • [学会発表] ルイス酸性部位を有するビス(トリアリールアミン)誘導体の開発と混合原子価状態の評価2016

    • 著者名/発表者名
      小山悠也・田原圭志朗・菊池純一
    • 学会等名
      第10回有機π電子系シンポジウム
    • 発表場所
      あうる京北・京都府立ゼミナールハウス(京都市)
    • 年月日
      2016-12-16 – 2016-12-17
  • [学会発表] ビスカテコラト配位子を用いたパラジウムニ核錯体の合成と架橋部位の改変が分子内電荷移動特性に及ぽす影響の評価2016

    • 著者名/発表者名
      門脇知也・田原圭志朗・'菊池純一
    • 学会等名
      第10回有機π電子系シンポジウム
    • 発表場所
      あうる京北・京都府立ゼミナールハウス(京都市)
    • 年月日
      2016-12-16 – 2016-12-17
  • [学会発表] Synthesis, characterization and charge transfer properties of 1'-dimesitylborylbiferrocene2016

    • 著者名/発表者名
      Keishiro Tahara, Shiomi Yabumoto, Nazuna Terashita, Ken Tokunaga, Jun-ichi Kikuchi
    • 学会等名
      第66回錯体化学討論会
    • 発表場所
      福岡大学七隈キャンパス(福岡市)
    • 年月日
      2016-09-10 – 2016-09-12

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公開日: 2018-01-16  

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