研究課題/領域番号 |
16K17526
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
戸倉川 正樹 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教 (80728246)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 波長2 μm帯短パルス光源 / カーレンズモード同期レーザー / Tm添加希土類三二酸化物 / 最短パルス幅166fs / 最大出力1W |
研究実績の概要 |
波長2 μm帯短パルス光源は2μm帯光の直接応用のみならず、中赤外(3-12um)や軟X線領域・水の窓領域(<4.4nm)での新たなレーザー応用を進める上でも重要であるが、従来の0.8μmや1μm光を基本波とした非線形波長変換では、変換効率、繰り返し周波数、平均出力などの制限が大きく、より高性能かつ実用性に優れた光源が強く求められている。 本研究では非線形波長変換を用いない、Tm添加レーザー結晶による高効率な2μm帯短パルス光の直接発生を目指し、従来と異なる波長~1600 nmの高出力ファイバー光源を利用したin-band励起によるTm添加希土類三二酸化物(Re2O3,Re=Sc,Lu,Y)固体レーザーシステムの提言・開発を行っている。 現在までに1611nmで動作する全ファイバー型、直線偏光、狭線幅、ファイバー増幅システムを開発し、それを励起光源として用い、Tm添加固体レーザーでは世界で初めての報告となるカーレンズモード同期レーザーを実現した。開発した光源の性能としては最短パルス幅166fsを達成し(Tm添加固体レーザーでは世界で2番目に短いパルスは)、最大出力1W を達成し、2 μm帯超短パルス光源における世界ではじめてのW出力を達成した。最適化により一層の高出力化も見込まれている。この光源を用いた中赤外(3-12um)光発生の共同研究も現在取り組んでいる。 上記のように、Tm添加固体レーザーの新しい励起システムを考案し、従来のシステムの問題点を克服した、非常に優れた2 μm帯超短パルス光源の開発に成功した。研究成果は国際会議においても非常に高い評価を得るに至っており、固体レーザー開発ではダントツとのコメントも頂いてる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度は波長2um帯のカーレンズモード同期発振器の開発をめざしていた。そのための励起光源として当初の予定であった5W光源を越える8W励起光源の開発に成功し、励起光源に関する論文も出版した。開発した光源をを励起光源として用い、Tm添加固体レーザーでは世界で初めての報告となるカーレンズモード同期レーザーを実現した。開発した光源の性能としては最短パルス幅166fsを達成し(Tm添加固体レーザーでは世界で2番目に短いパルスは)、最大出力1W を達成し、2 μm帯超短パルス光源における世界で初めてのW出力を達成した。 励起光源は最大8Wまで使用可能であるが現在は5W以下で使用している。使用しているTm添加結晶の最適化とあわせて最大励起パワーで実験を行えば当初の予定を越える3W程度までの超短パルス出力が見込まれる。パルス幅は100fs以下を目指しており、共振器の最適化により達成が見込まれる。Tm添加固体レーザーの新しい励起システムを考案し、従来のシステムの問題点を克服した、非常に優れた2 μm帯超短パルス光源の開発に成功し現在あらたに論文を執筆中である。 また開発した超短パルス光源を用いた中赤外(3-12um)光発生の共同研究の申し出をうけ、研究計画で応用としてあげていた研究課題にも現在準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに波長2um帯のTm添加固体レーザーでは世界で初めての報告となるカーレンズモード同期レーザーを実現し最短パルス幅166fs、最大出力1Wを達成した。 励起光源として当初の予定であった5W光源を越える8W励起光源の開発に成功した。使用しているTm添加結晶の最適化とあわせて最大励起パワーで実験を行えば当初の予定を越える3W程度までの超短パルス出力が見込まれる。同時にパルス幅は共振器の最適化により100fs以下が見込まれる。 上述の様にTm添加固体レーザーの新しい励起システムを考案し、従来のシステムの問題点を克服した、非常に優れた2 μm帯超短パルス発信器の開発に成功した。本年度は研究計画書に示していたとおりTm添加固体媒質を用いた光パルスエネルギー増幅器の開発を最終的な目標として研究を進めていく。励起高原として1μm Ybファイバーレーザーを用いた、多段のラマン変換による波長~1.65 μm 帯、20W以上の励起出力を目指す。 また応用研究として開発した超短パルス光源を用いた中赤外(3-12um)光発生の共同研究の申し出をうけているのでそれを平行して行っていく。
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