研究課題/領域番号 |
16K17541
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
宮坂 泰弘 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 博士研究員(任常) (20761464)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光パラメトリックチャープパルス増幅 / 光同期 / ファイバー / ナノ秒レーザー |
研究実績の概要 |
光パラメトリックチャープパルス増幅(OPCPA)に用いる信号光から励起光を生成することで、タイミングジッターが低減して出力安定性が向上する。本研究では、今まで実現されていなかったペタワット級超高強度レーザーに適用可能な、光パラメトリックチャープパルス増幅用高安定光同期励起レーザーの最適設計・増幅手法確立を目的としている。平成28年度は、多種のファイバーを用いる事でペタワット級超高強度レーザーのOPCPA励起光の種光となるパルスを安定に生成する手法を確立した。 チタンサファイア発振器から供給される信号光の一部を切り出し、フォトニック結晶ファイバーに集光することで波長1064nmを含むパルスを生成した。フォトニック結晶ファイバーに入射するレーザーの偏光を自動調整する独自のフィードバック機構を構築することでパルスのスペクトルを安定化することに成功した。Yb添加ファイバー増幅器を構築し、ファイバーバンドパスフィルターと組み合わせる事で波長1064nmを効率的に増幅した。また、非線形効果によるスペクトル変化が生じないように増幅率の最適化を行った。パルス伸長には狭帯域ファイバーブラッググレーティングを用いた。結果、波長1064nm、パワー150mJ、繰り返し80MHz、パルスエネルギー1.8nJ、パルス幅1.2nJのパルスを信号光から安定して作り出すことに成功した。この種光は平成29年度に行う半導体レーザー励起Nd:YAG再生増幅器のシードとしての要求を十分に満たしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
独自のフィードバック機構構築による波長安定化や、ファイバー増幅器の最適化、パルス幅の伸長などの開発項目を計画通りに遂行することができた。平成29年度に計画している半導体レーザー励起Nd:YAG再生増幅器での高エネルギーパルス増幅へと繋がる成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
生成した光同期OPCPAの種光のパルスエネルギーを半導体レーザー励起Nd:YAG再生増幅器により増幅する。レーザープロファイルも含めて最適化を行う。その後、第二高調波発生結晶を透過させて100mJ 程度の励起光を生成し、信号光とのジッター評価やOPCPAによる増幅の安定性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
レーザーの繰り返しを80MHzのままファイバー増幅器で増幅することに成功したことで物品の一部が不要になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
開発に必要な光学素子の購入や、信号光のパルス伸長器に必要な保持具の製作に使用する。また、成果発表のための旅費と論文投稿費として使用する。
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