研究課題/領域番号 |
16K17557
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
宮崎 隆史 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (20706725)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 指数型不定方程式 / Jesmanowicz予想 / 寺井予想 / ディオファントスの組 / ベキ剰余理論 |
研究実績の概要 |
まず、ピタゴラス数に代表される様な代数的パラメータで表示される自然数の三つ組みから生じる三項型の指数型不定方程式の研究を行った。Elif Kizildere氏、Gokhan Soydan氏(共にUludag大学)と行った共同研究成果が、査読付き論文として出版された。また、前年度中の研究成果の内の二つの論文が本年度中に査読付き論文としての出版が受理された。一つは、ディオファントスの三組の四組への拡張可能性問題の整係数1変数多項式環への類似に関するものであり、もう一方は、寺井伸浩氏(大分大学)によって提起された指数型方程式の未解決問題の部分的解答を得たものである。さらに、既に終了している研究課題(番号13J00484)の研究成果の内の二つの論文が本年度中に査読付き論文として出版された。一つはピタゴラス数に関するJesmanowicz予想についてのものであり、もう一方は、指数型方程式に関する寺井氏との共同研究成果である。ここで、この後者においては、今年度中にその証明の不完全な部分を修正し、その際にY.Bugeaud氏による二つの代数的数の累乗の差のm進付値の上限評価を使用した。これは他の応用が期待される。 次に、ベキ剰余理論の指数型不定方程式への応用について考察を行った。これは比較的最近にM.Deng氏がJesmanowicz予想の研究に4次剰余理論を応用したことに契機している。特に本年度は立方剰余理論の応用について考察し、それに適するEisenstein数に起因する方程式族を考え、その特別な部分族を解くことが出来た。これはJesmanowicz予想について活発に考察されている、方程式のパラメータに合同条件だけを付する場合に関する既知の研究成果との類似物とみなすことが出来る。この成果を筑波大学で行われたDiophantine Analysis and Related Fields 2019にて口頭発表を行い、その論文を学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2変数あるいは3変数の指数型不定方程式について、想定よりも多くの論文を出版させることが出来た。特に、前述した立方剰余理論の応用法は、より高次元の場合への適用の可能性が十分にあり、以前よりも他の数論分野とのつながりが広がることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
前述した、寺井氏との共同研究の中で使用したBugeaud氏によるm進付値の評価法を、前年度以前から取り組んでいる寺井予想の特別な場合に適用し結果を得ることを目指す。また、前述した様に高次ベキ剰余理論の指数方程式への応用を模索する。これに合わせて必要になる、近年発展の著しいモジュラーアプローチ法の習得を目指す。さらに、最近、三項型の指数型方程式の解の個数の評価について非常に重要な結果が、Y.Hu氏、M.Le氏、R.Scott氏、R.Styer氏によって得られている。この方向の研究をIstvan Pink氏(Debrecen大学)と取り組み、解の個数の最良評価を得ることを目指す。
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