研究課題/領域番号 |
16K17559
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
生駒 英晃 京都大学, 理学研究科, 研究員 (90533638)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アラケロフ幾何学 / アデール因子 / 基底条件 / 数論的体積 / 代数幾何学 / 代数多様体上の有理点 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、報告者が新たに導入した概念「基底条件付きアデール因子」に付随する数論的体積関数の研究を進め、アデール因子の数値的性質の解明や数論的オコンコフ凸体の形状の解明への応用を目指すものである。 本年度、アデール的因子の正値性と数論的体積関数の微分可能性に関する研究を行い、いくつかの進展を得た。一部はプレプリント「Adelic Cartier divisors with base conditions and the continuity of volumes」(http://arxiv.org/abs/1702.03514)にまとめ、公開した。このプレプリントにおいて、基底条件付きアデール因子の空間上の数論的体積関数の大域的な連続性が確立された。この結果は、「数論的体積関数が基底条件に対して連続であること」をも示すものである。応用として、基底条件付きアデール因子に対する数論的ボネセン・ディスカント不等式が確立され、この結果はプレプリント「Adelic Cartier divisors with base conditions and the Bonnesen-Diskant-type inequalities」(https://arxiv.org/submit/1809817)に公開している。さらに、アデール的因子の空間に対する種々の代数的操作や極限操作の簡易化を目的としたより一般的なアデール条件「l1-アデール条件」の概念を新たに提示した。これらの研究は数論的体積関数のより一般的な微分可能性の確立に向けての基礎となると期待される。これらの成果について、東京理科大学、北海道教育大学、京都大学、パリ第6大学(フランス)で研究発表を行った。 また、代数多様体上の有理点の研究に関連して、森脇氏・川口氏と共にモーデル-ファルティングスの定理に関する書籍の出版に関わった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プレプリント「Adelic Cartier divisors with base conditions and the continuity of volumes」(http://arxiv.org/abs/1702.03514)は本来はもう少し早い段階で公表する予定であったが、遅くなった。しかし、本年度中に公開でき、また「l1アデール条件」を新たに提示できたことは良かったと考えている。数論的体積関数の基底条件による減少度の解明に向けて、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
数論的体積関数の微分可能性の研究は、現在のところ、当初の方針に沿って進められている。今後、本研究の主目的解決に向けて鋭意研究を進めていく。また現在、本研究に関連して、オコンコフ凸体の構成に関する研究も遂行中である。
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