(1)一つの目的としていた「加法群のReciprocity層としてのテンソル積構造の解明」に関して、モジュラス前層のテンソル構造についての共著論文(2019年に投稿)が専門雑誌に掲載され、またその結果について国際集会での講演を行った。講演後、知り合いの研究者との議論で、「加法群のReciprocity層としてのテンソル積とある別のホモロジーに関係を見出せるのではないか」という新たな調査の方向を得ることもできた。これに関して、群レベルの計算を進めたが、明確な結果を得るまでには至っていない。 (2)昨年度から検証を続けている(i)加法群3つ以上のテンソル積の構造や(ii)ケーラー微分の層とのテンソル積の性質について推測について、(i)の推測の証明を試みたが、二つの対象が同型であることの証明には至らなかった。しかし、関連する別の層については、ある群レベルでの同型は得られた。(ii)については(i)の寄与が大きいため、進展は得られなかった。別の視点からの調査を今後も進めていく。 (3)昨年度から継続している共同研究課題について、今年度もオンラインでのセミナーを定期的に行う形で進めた。先行研究の一般化の方向性やいくつかの課題についての定式化を行うことができ、挑戦すべき課題を明確にすることができた。この議論によりより整数論的な新たな知見を得ることができている。この課題については、今後も定期的なオンラインセミナー形式で議論を進めていくことになっている。
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