研究課題/領域番号 |
16K17581
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
三内 顕義 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (10610595)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アーベル多様体 / フロベニウス写像 |
研究実績の概要 |
今年度はアーベル多様体のFrobenius写像の持つ性質による特徴付けに関する理論の深化を行った。 三内-田中の研究により、正標数の代数閉体上の滑らかな射影多様体がオーディナリーなアーべル多様体と同型であることは、 標準束が擬効果的であることと、構造層のFrobenius押し出しが(無限回の合成について)直線束の直和になるという条件で特徴づけられてた 。昨年度の研究では東京大学の江尻氏とともにこれが標数3以上の時には一回のFrobenius押し出し(が直線束の直和になるという条件)でチェック可能なこと、および標数2の時は二回のFrobenius押し出し(直線束の直和になるという条件)でチェック可能なことを証明していた(標数2の場合は一回のFrobenius押し出しでは判定できない反例も構成した)。今年度はこの理論をオーディナリーでない場合に拡張した、その仮定で、これまでの「直線束の直和になる」という条件を構造層のFrobenius押し出しが本質的にアルバネーゼ多様体のポアンカレ束のアルバネーゼ射によるフーリエ-向井変換を用いて書くことができるという条件読み換えることとなった。これによってこれまでには制御することが不可能だった、構造層のFrobenius押し出しが既約なケース(これは加群の構造としてはほぼ情報がないことに注意する)も取り扱うことができるようになった。またこれについてはいくつかの場所で発表を行い、城崎代数幾何シンポジウムの報告集などに結果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フロベニウス写像を用いた代数多様体の研究に十分に貢献し得るアーベル多様体に関する特徴づけが十分に進展したため
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今後の研究の推進方策 |
今後もアーベル多様体に関するフロベニウス写像の理論の進展をはかるとともに 大域的F-正則多様体の研究も同時に行っていく予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
アーベル多様体に関する研究が思ったより進展したために発表を行う必要が出て次年度使用額が生じた。来年度についての計画としては問題ないと考えられる。今年度は昨年度発表のために出張した分を抑えて使用する予定である。
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