誤り訂正符号を生成する行列は列ごとに見れば超平面配置の定義式であり、逆に座標を固定した超平面配置の定義多項式から誤り訂正符号の生成行列を作ることができる。平成30年度は、主に超平面配置から定まる誤り訂正符号のハミング重み多項式の研究を進め、Catalan配置から定まる誤り訂正符号の重み多項式を集合分割の言葉を使って表示した。 Crapoにより導入されたコバウンダリー多項式は、誤り訂正符号の重み多項式と本質的に同値であることが知られている。コバウンダリー多項式と重み多項式の同値性は、超平面配置から定まる誤り訂正符号の元の重みの計算がベクトル空間の点を通る超平面の数の計算に帰着できることから得られる。また、交叉半順序集合のすべての要素に対し、超平面配置の制限の特性多項式と局所化の要素数がわかればコバウンダリー多項式を計算できる。Catalan配置の場合には、交叉半順序集合を集合分割の言葉で書き直すことができ、超平面配置の制限はすべて特性多項式の計算が可能なクラスに含まれている。さらに局所化の要素数も計算可能である。このような方法でCatalan配置のコバウンダリー多項式を計算し、同値な多項式である重み多項式を集合分割の言葉で表示した。今後はCatalan配置と同様の理論展開ができることの多いShi配置のコバウンダリー多項式を計算する。 また、ArdilaによりABD型Coxeter配置のコバウンダリー多項式の指数型母関数が与えられている。今後の別方針としてCatalan配置、Shi配置などの超平面配置でコバウンダリー多項式の指数型母関数を明らかにすることで明示式を計算する方法も取り入れる。
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