研究課題/領域番号 |
16K17585
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本多 正平 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60574738)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Ricci曲率 / ラプラシアン |
研究実績の概要 |
Luigi Ambrosio氏と共同で,一般された意味でのRicci曲率が有界な測度付き距離空間の測度付きGromov-Husdorff収束列に対して,ソボレフ関数,BV関数,ヘッシアンの収束を示した.応用として,p-Laplacianの正の第一固有値やCheegerの等周定数が測度付きGromov-Hausdorff収束に関して連続に振舞うこと,曲率次元条件の新しい安定性を得ることができた.これを一本の論文にまとめて,アクセプトされた. また,同じくLuigi Ambrosio氏と共同で,局所スペクトル収束が成り立つための必要十分条件を与えた.応用として,Anton Petruninが10年以上前に与えた,Gromov-Hausdorff収束するAlexandrov空間上の調和関数の振る舞いに関する問いに対して,肯定的な答えを与えた.これも一本の論文にまとめて,アクセプトされた. Luigi Ambrosio氏とDavid Tewodrose氏と共同で,熱核の短時間挙動について調べた.応用として,Ricci曲率が下に有界な測度付き距離空間上のWeylの漸近公式が成り立つための必要十分条件を与えた.なお,これによってWeylの漸近公式が成り立たない例はこれまで知られていないことがわかった.特にAhlfors正則性が成り立たないがWeylの漸近公式が成立する例を与えた.これも一本の論文にまとめて,雑誌に投稿した. 最後に単著で,Riemann多様体の極限空間に向き付け可能の概念を与え,その基本的性質を与えた論文を書いて,雑誌に投稿した.応用として,Riemann多様体の極限であるが,向き付け可能な空間で近似できない例を与え,また,向きを定める微分形式の収束とカレントの収束との関係を与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
BV関数の収束を予定通り,しかもより一般の設定で示すことができ,それに引き続く研究でWeylの漸近公式や,局所スペクトル収束など,予想外の結果も多く得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
現在,高次の非線形スペクトル収束の問題を研究しているのでそれを推し進める.また本年度得られた熱核の短時間漸近挙動を用いた新しい空間の摂動理論の建設を始めたので,それを推し進める.以上はすでに部分的な結果が得られており,時期をみて発表,雑誌に投稿する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
日本学術振興会の頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラムで2016年5月から2017年3月までイタリアのピサに滞在していたため.
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次年度使用額の使用計画 |
主に前年度得られた成果発表に関する出張,すなわち旅費に用いる.
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