研究課題/領域番号 |
16K17586
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小鳥居 祐香 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員 (30737143)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有限型不変量 / 仮想結び目 |
研究実績の概要 |
本研究では,結び目の拡張である仮想結び目の有限型不変量を用いることで,結び目の有限型不変量に関する研究を行なった.特に,結び目の有限型不変量が起点付き仮装結び目の有限型不変量に拡張出来るというGoussarov,Polyak,Viroによる予想に関する研究を行なった.(起点付き)仮装結び目の任意の有限型不変量は,Gauss diagram formulaと呼ばれるある組み合わせ的表示で統一的に記述でき,その構成のアルゴリズムが知られている.そのため,本予想が肯定的に解決されれば、結び目の全ての有限型不変量に対して組み合わせ的表示を与えることが可能となる. 本研究では,東京大学の伊藤昇氏との共同研究によって,下記の成果を得た.起点付き仮装結び目の次数3の有限型不変量を互いに独立な5つGauss diagram formulaの形で構成した.またそれらの不変量の定義域を結び目に制限した時,そのうち4つが結び目の次数3の有限型不変量となり,残りの1つが自明な不変量となることを示した.さらに,結び目の次数3の有限型不変量を表す新しいGauss diagram formulaを見つけた.(起点付き)仮装結び目の有限型不変量はPolyak代数を計算することで得られることが知られているが,これに結び目に関する関係式を新たに導入し,Polyak代数の商代数を構成した.この代数を計算することで,起点付き仮装結び目の有限型不変量から得られるGauss diagram formulaとは異なる,結び目の有限型不変量のGauss diagram formulaを構成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他の研究課題については現在進行中であり,部分的には結果が出ているが,論文を書くまでには至っていない.これまでの成果を含め,次年度にまとめて報告したい.
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今後の研究の推進方策 |
有限型不変量の研究に関するGoussarov-Polyak-Viro予想について,次数4以上の高次の場合では(起点付き)仮装結び目の有限型不変量を求める為の計算量が非常に多いため,計算機を用いた研究を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に共同研究者との研究打ち合わせが多数入る見込みであったため,次年度に出張費を繰り越した.
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