本年度はコンパクトスペシャルラグランジアンでハーベイ・ローソンT2コーン特異点をもつものの例の構成を完成させた(論文もアクセプトされた)。ハーベイ・ローソンT2コーン特異点はDominic Joyceおよび私の以前証明した定理が使える重要な例であるが、コンパクトスペシャルラグランジアンでハーベイ・ローソンT2コーン特異点をもつものの例が知られていなかった。また、Joyceおよび私の定理をこの例に適用するとどうなるかも調べた。ハーベイ・ローソンT2コーン特異点をもつスペシャルラグランジアンを経由して、スペシャルラグランジアンの一次元の族があり、そのトポロジーはS1かけるS2からS3にかわる。ここではアンビエントスペースのケーラー形式も動かすが、深谷圏の元を定めるスペシャルラグランジアンの数は保たれると予想する。このためには、スペシャルラグランジアンにバウンダリーをもつ正則円盤の数え上げをしないといけない。このことについて今論文を書いている。
他の継続中の研究をいくつかのベる。上記の例のアンビエントスペースにsingular Calabi--Yau 3-foldsが出てくる。これをHein--SunのRicci flat metricを使って微分幾何的に定義し、そのsmoothingとresolutionを張り合わせでつくり、その全射性も証明するという計画も少し進めた。また、ハーベイ・ローソンT2コーン特異点とは別に、higher multiplicityをもつスペシャルラグランジアンの研究も続けている。これはスペシャルラグランジアンの基本群が可解な場合は、深谷圏のvirtual fundamental techniqueに関する部分を除いて、プレプリントを書いたが、この仮定を外すのが難しい。
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