研究課題/領域番号 |
16K17590
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹平 裕史 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (30466825)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Seiberg-Witten-Floer理論 / 安定ホモトピー |
研究実績の概要 |
この研究はSeiberg-Witten Floer安定ホモトピー型の構成とその応用を目的とする. Seiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型は3次元多様体の不変量で, 3次元多様体上のSeiberg-Witten方程式が定める無限次元多様体上の力学系を有限次元近似し、Conleyの理論を適用することで得られる. 3次元多様体の第一Betti数が0の場合に初め構成されたが、第一Betti数が正になると構成に本質的な困難が現れる. 申請者はT. Khandhawit氏, J. Lin氏との共同研究で第一Betti数が正の場合にもSeiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型を構成した. このFloer安定ホモトピー型の応用として, 4次元多様体の安定ホモトピーSeiberg-Witten不変量の貼り合わせ公式を構成した. その公式の証明の詳細を論文にまとめ, ほぼ完成に近づいている. Khandhawit氏, Lin氏との共同研究による構成とは別のSeiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型の構成も試みている. 別の構成方法を試みる理由の一つは, インスタントンやシンプレクティック幾何学におけるFloer理論へも拡張可能な構成方法を目指しているからである. この別の構成にはいくつかの困難が見つかっていたが, 今年度の研究によりそれらの困難を解決するための新しいアイデアを得て, 現在困難を解決に向けて研究している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Khandhawit氏, Lin氏との共同研究で構成したSeiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型を用いた, 安定ホモトピーSeiberg-Witten不変量の貼り合わせ公式の論文をほぼ書きあげた. また, Seiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型のもうひとつの構成に関しても, 困難の解決に向けて一定の成果があった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きKhandhawit氏, Lin氏との共同研究を行い, Seiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型の研究を行う. 第一Betti数が0の3次元多様体に対しては, Seiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型から整数(または有理数)に値をもつホモロジー同境不変量 (Froyshove型不変量と呼ばれる) が幾つか定義され, 興味深い応用が発見されている. 今後の研究で, 我々が構成したSeiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型を用いて, Froyshov型不変量を一般の3次元多様体へ拡張し, トポロジーへの応用を試みる. また, Seiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型のもう一つの構成法についても引き続き研究を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
出張が相手方の都合により一度キャンセルになった関係で, 残額が出た. 時期を変えて出張に行く予定である.
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